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固定観念を打ち破る“体験の法則”

2024.04.09
SHEARE

初めて出かけた土地での旅が、想像以上に楽しかった。
SNSでは人気の店だけど、実際にはそれほどでもなかった。
誰もがそんな思いをしたことがありますよね。
その「体験」こそが、クリエイターにとって自分の世界を広げるチャンスです。

アイデアに必要なのは、イメージや推測でなくリアルな体験。
いわゆる“ひらめき”は、自分の体験の積み重ねから生まれます。
知らない場所に行ってみる。誰とでも話してみる。新しい商品を試してみる。
そんなフットワークの軽さが、新たな体験の機会を増やしてくれます。
では、 体験を“どのように”すべきなのでしょうか。

大切なのは、固定観念に気づくこと。
リアルな体験を通して「思っていたのと違う」と感じることです。
それが、物の見方を変えたり、アイデアのきっかけになったりするはず。
そこで、クリエイターにとっての“体験の法則”
デザイナーの岡崎と一緒に作ってみましょう。

この記事は、名古屋でコミュニケーションデザインを行っているトガルがお伝えします。

体験は、受け身の姿勢ではかないません。世界を広げるためには、日頃からいろいろなことに興味を持ち、自ら行動することが大切だと思います。例えば私の場合、旅行が好きでよく出かけますが、行き先を決める基準は「好奇心」です。ネットやSNS検索で何気なく接した情報から興味を持ったモノ・コトをきっかけに、気になる場所を探します。そして実際に出かけてみると、事前情報から抱いていたイメージと異なることもありますが、それもまた楽しいものです。また日常生活の中でも、例えば飲みに出かけたお店でたまたま隣り合わせた人と会話を交わすなどコミュニケーションを広げ、さまざまな情報に触れるようにしています。

行ったことのない場所、会ったことのない人、味わったことのない食べ物…。未知のものに触れる体験は、新しい気づきにつながるはずです。だから、先入観にとらわれず常にオープンマインドで物事に接することが、より良い体験の第一歩ではないでしょうか。

「思っていたのと違う」という感想は、自分の中に固定観念があったことへの気づきです。体験は、無意識のうちに自分自身で考えの幅を狭めていることに気づける、絶好の機会。「無意識」の存在を認識し固定観念を取り払うことが、柔軟な発想へとつながります。

例えば、小説や漫画などの実写化は難しいと言われますよね。特に人気作は原作ファンも多く、作品への思い入れが強いためイメージが出来上がっているのが要因かもしれません。私自身も「実写版は面白くない」という偏見を持っていましたが、最近観た映画でその固定観念を覆すことができました。作品自体が面白かっただけでなく、「ここまで漫画に忠実なんだ」「この演出だから違和感がない」など新たな気づきがたくさんあり、考え方やデザインのヒントを得られた感覚でした。また、「やはりヒット作には理由がある」というシンプルな再発見もありました。

想像だけでは知り得なかった良い面、反対にデメリットや改善点。この「ギャップ」を見つけ課題解決につなげるのが、体験の大きな役割と言っていいかもしれません。

CASE)アパレル商品のギャップ

リーズナブルな品揃えが若い女性に人気のアパレルブランド。ECサイトの商品画像と購入後に届いた実物にギャップがあると感じたユーザーの間で、“ガチャ”と話題に。

ユーザーはゲーム感覚で楽しんでSNS投稿などで情報拡散しているようですが、企業としてめざすべきは、やはり高い顧客満足度を安定して保つこと。素材の質感を伝えるため生地のアップ画像を掲載、3Dモデルの導入、ECと実店舗を組み合わせた販売サービスの構築など、課題解決策はいろいろ考えられそうです。
そこで重要なのは、「ギャップ」を正しく理解することです。ユーザーはどんなことにギャップや違和感を抱くのか。それを知るためにも、日頃からさまざまなジャンルの商品に実際に触れ、ギャップを体感する機会を作っておくのもおすすめです。

CASE)商品パッケージの違和感

海外商品のパッケージデザインは、文字情報が少なく非常にシンプル。

これは、私自身の体験に基づいた気づきの例です。フランスに住んでいた頃、地元のスーパーマーケットで買い物していると、商品パッケージの情報量の少なさと、「雑」とも言っていいほどの包装のシンプルさに驚きました。成分や効能、開け方の指示など細かい情報がたくさん記載された日本の商品とはまったく異なるのです。一方、情報が混在しないシンプルなデザインのため、ストレートにシズル感が伝わることにも気づきました。それぞれに良さもデメリットもあり、ここに生まれるギャップから見えてくることは、たくさんありそうだと感じたものです。例えば日本の商品パッケージは、人間工学的アプローチにより「開けやすさ」「使いやすさ」がほどこされているものが多いですよね。裏を返せば、私が「雑」「不便」と感じた海外商品のシンプルなパッケージには、改良の余地が十分にあるということ。生活の中にあるちょっとした違和感も、貴重な体験の機会だと思います。

人との関わりも「体験」です。ネットやSNSも、ひとつの体験の場だと思います。コメント欄やフィードなどにあふれる多様な意見は、自身の物の見方の幅を広げることにつながるはずです。中にはネガティブな意見もありますが、そこに課題発見のチャンスがあるかもしれません。自分の求める意見や欲しい情報だけを集めていると、世界はどんどん小さくなってしまいます。物の見方の幅とアイデアのバリエーションや精度は、比例すると思います。

経験することで人は成長するように、体験は自らの糧となります。さまざまな体験を通して類似ケースやある程度のパターンを記憶していくことは、「体験の蓄積」としてアイデアのベースとなっていくはずです。ただ注意が必要なのは、それが新たな固定観念を生むことにもつながること。特に、年齢を重ねたり仕事でキャリアを積んだりしていくと、経験則から固定観念を抱きがちですが、どんなことにも新鮮な気持ちで接するのはとても大切だと思います。

“体験”を極める5つのポイント
  • 「好奇心」をベースに行動する
  • 固定観念を振り払う
  • ギャップを課題解決につなげる
  • 他人の目線を知る
  • 新たな固定観念を生まない

体験は、無意識を意識化してくれます。知らず知らずのうちに作っていた固定観念の外に、新たな楽しさや気づきが広がっているかもしれません。自らいろいろなことを体験して視野を広げ、物事をさまざまな角度からとらえる視点を身につけましょう。
「意外と」を体験して世界を広げていくと、自然に企画やアイデアのベースが築かれ、コミュニケーションの手法を広げることにもつながると思います。

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デザイナー
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伝えたい人に伝えたいことが伝わるように。

様々な生き方がある現代。それぞれの考えに寄り添い、心を動かすひとつのきっかけとなるものをつくっていきたい。

企画・構成・編集:みしゃん/執筆:稲葉

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