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Z世代が語る SNS動画視聴実態

2023.10.13
SHEARE

情報過多な時代において、デジタルネイティブ世代であるZ世代の若者は膨大にあるSNS動画コンテンツの中から自分に合うコンテンツを見つけ楽しんでいます。超大量消費される動画コンテンツの中で、高速の審美眼を持つZ世代の目に留まる動画の構成とはどのようなものであるのかを分析し、Z世代へ効果的に訴求できるSNS動画の運用方法について考察していきます。

今回の「SNS動画視聴実態」では、実際にZ世代として動画を楽しむ当事者である筆者の視点も含めて、Z世代がどのような価値観の下で動画を視聴しているのかを解説していきます。
この記事は、名古屋でZ世代向けSNSマーケティングを行っているトガルがお伝えします。

まずは動画コンテンツに限らず、Z世代は膨大なコンテンツの中からどのように自分に合うコンテンツを見つけているのか、SNS時代の情報収集について説明していきます。

情報コンテンツは一般的に、「何となく暇つぶしで見るもの=受動的消費」と「気になって自分から調べたもの=能動的消費」に分けられます。例えば「暇だからテレビをつけて、流れていた番組を眺める」というのは受動的消費、「さあ、○○を調べるぞ」と決めて検索し、目的に合ったコンテンツを見るのは能動的消費です。当然、自分にとってより有益な情報が得られるのは後者でしょう。

しかし個人の嗜好を分析したアルゴリズムにより最適化されたSNSにおいては、その境目が曖昧になってきています。「○○を調べよう」という目的でSNSを利用する場合に限らず、何となく暇つぶしで開いたSNSが自分にとって有益なコンテンツで満たされている、というのが当たり前になっているからです。

この“情報のパーソナライズ化”はZ世代の情報収集において非常に重要な意味を持ちます。Z世代では単なる雑多な情報群ではなく、自分の興味をそそる情報であふれる「おすすめ欄」を見て楽しむのが主流となっています。その中で気になるものが出てきたら保存し、別のSNSや検索エンジンで詳細を調べます。

つまりZ世代は全く興味のないものも含まれる場所から情報を見つけ出すのではなく、「自分用に整備されたエリア」の中から欲しいものややりたいことを見つけ出すという、効率的な方法で情報を見つける方法に慣れているのです。それだけに、Z世代に訴求するコンテンツをつくり出すにあたっては、どれだけパーソナルな部分に訴えかけられるかが鍵と言えるでしょう。

前述の情報パーソナライズ化も踏まえてZ世代の情報収集の方法を見ていくと、大きく2つのスタイルに分けることができます。一つは情報の海を漂う“浮き輪スタイル”、もう一つは情報の海を自分の意思で乗りこなす“サーフィンスタイル”です。

“浮き輪スタイル”とは、情報の海の中に身を任せるスタイルです。その中で何気なく目に留まったコンテンツから、友達と訪れてみたい場所や試してみたいことを保存したり、気になった情報から派生して検索していったりします。

“サーフィンスタイル”とは、パーソナライズ化された情報群の中から能動的に情報を選び取っていくスタイルです。自分にとって良いと感じられる感覚を重要視しつつも、他のZ世代の若者たちの価値観から離れすぎないよう調節するような行動が行われています。

Z世代は膨大な情報群から情報を得るにあたり、この2つのスタイルを使い分けています。それにより、自分に適した情報を獲得しようとしているのです。

「コンテンツ」と一口に言っても、テキストや画像などその形態はさまざまです。その中でZ世代に支持されるコンテンツは、やはり動画コンテンツといえるでしょう。

動画コンテンツが他のコンテンツと圧倒的に違うのは、瞬時に与えるインパクトと情報量、そしてわかりやすさです。テキストでは多くの文字数を使って伝えなければならない内容も、動画にすることで短時間で伝えることが可能です。また静止画の画像では伝わりきらない部分まで見る側にイメージさせられるのも、動画コンテンツならではの強みです。だからこそ動画コンテンツは、日常的に多くのコンテンツ情報に触れているZ世代の心をぱっと掴み興味を引くことができるのです。

また、Z世代の多くは「見る側」としてだけでなく「発信する側」としてもSNSを利用しています。TikTokのダンス動画など、真似して発信したくなる要素が多いのも動画コンテンツの特徴といえます。

サムライト株式会社が実施した調査(※)(以下、「同調査」という)によると、Z世代のソーシャルメディア利用率は「YouTube」が「LINE」や「X(旧Twitter)」を超えてトップとなっています。10代、20代ともに8割前後の人が利用していると回答しており、いかにZ世代にとって動画視聴習慣が根付いているかがうかがえます。

出典:サムライト株式会社調査

また動画の中でも「ショート動画」に着目すると、TikTokの利用状況はZ世代の3割超、10代に限定すれば約半数となっています。加えてYouTubeショートやInstagramのリール動画の視聴経験は7割弱。世間一般に広く浸透しているYouTubeに比べてTikTokなどのショート動画は後発コンテンツであるにもかかわらず、Z世代の間では既に大きな人気を得ていることがわかります。

出典:サムライト株式会社調査

▼調査概要
調査対象:15~24歳の男女
調査方法:インターネット調査
調査時期:2021年8月~9月
有効回答数:4,275人(男性2,112人、女性2,163人)

続いて同調査から見えるZ世代の各SNSのショート動画の視聴傾向を見ていきます。

出典:サムライト株式会社調査

TikTok

同調査によると、「TikTokを週に5日以上視聴している」と回答したのはTikTokの利用経験がある人のうち6割以上。他のSNSショート動画と比べて非常に高い頻度で視聴されていることがわかります。

私の利用実感としても、時間があるときに気軽に見るのにちょうど良いのがTikTokの特徴です。次々に出てくるおすすめ動画を数珠繋ぎ的に見てしまう、中毒性の高いSNSだと感じます。

同調査結果によると、TikTokで好んで視聴されている動画ジャンルは男女ともに「ダンス動画」が1位。Z世代特有の感覚が色濃く反映されている結果となっています。

出典:サムライト株式会社調査

YouTubeショート

同調査によると、YouTubeショートの利用経験がある人のうち「週に3日以上利用している」割合は半数以上となっています。人気の動画ジャンルは男女で大きく異なり、男性では「ゲーム系動画」「コント・お笑い系動画」が、女性では「有名人・タレントの動画」「ファッション・美容系動画」が人気となっています。

YouTubeにはショート動画用の切り抜き機能もあるため、気軽に見られるショート動画で訴求し、興味を持った人を本編、チャンネルに誘導できる導線を引いているチャンネルも良く見られます。長尺動画とショート動画を同じプラットフォームで楽しむことができる、YouTubeならではの特徴といえるでしょう。

出典:サムライト株式会社調査

Instagramリール

同調査によると、Instagramリール利用経験がある人のうち「週3日以上利用している」割合は半数以上となっています。人気の動画ジャンルは男女ともに「有名人・タレントの動画」がトップ。

また女性では「ファッション・美容系動画」にも回答が集中しており、男性も同ジャンルが6位となっています。「おしゃれ」や「かわいいもの」との親和性の高いInstagramならではの特徴が表れています。

出典:サムライト株式会社調査

Z世代のショート動画人気や、各SNSの視聴傾向がわかったところで、ここからはZ世代の動画視聴実態に迫っていきます。

Z世代のSNS動画視聴において最も重要なキーワードは“タイパ”。Z世代はサブスクリプション動画サービスを利用し、低価格で大量にコンテンツを視聴できる環境に慣れています。その中で「時間を無駄にしたくない」「失敗したくない」と思いながら自分に合うものを探しています。つまりZ世代がタイパを求める根底には、ただコンテンツを浪費するのではなく「自分の価値観に沿った多様な情報を学び取りたい」という気持ちがあるのです。

タイパ重視のコンテンツ消費には2つの方法があります。1つは、そもそもタイパの良いコンテンツを選ぶこと。つまりテンポが速い、スピード感のある動画を視聴するということです。編集によって間を詰めたりすることで無駄を省き、短い時間の中にぎゅっと情報の詰め込まれた動画コンテンツは、タイパを重視するZ世代にとって好まれる傾向にあります。

もう1つは、自分なりにタイパの良い方法を用いてコンテンツを消費するということ。例えば他のことをしながら見る「ながら見」や、再生速度を1.5倍や2.0倍に調節して見る「倍速視聴」、所々飛ばして見たいところだけを見る「スキップ再生」、あらすじがまとめられた動画を見てから本編を見る「ネタバレ視聴」など。効率的な動画視聴によりメリハリをつけて動画コンテンツを消費するのも、タイパを重視するZ世代ならではの傾向です。

アメリカで発表された文献(※)によると、Z世代の1つのコンテンツに対する集中力は極端に短く、平均して8秒ほどであるとされています。集中力という言葉を使うと「そのコンテンツを見ている8秒間は内容に集中している」というイメージを持つかもしれませんが、どちらかというとその8秒でコンテンツの良し悪しの判断をしている、というイメージの方が近いかもしれません。
※次世代を担う「ミレニアル世代」「ジェネレーション Z」 -米国における世代(Generations)について-JETRONEWYORKより

幼い頃から大量のコンテンツを消費してきたZ世代には鋭い審美眼が養われています。高速で良し悪しの判断をし、興味のないものはすぐ拒否します。特に、下から上にスワイプするだけで次々に動画を切り替えられるショート動画ではその傾向が強く、TikTokでは最初の2秒が重要とされるほどです。

Z世代の興味を惹くコンテンツを作成したとしても、導入の部分で惹きつけられなければ結局スルーされてしまいます。まずは冒頭部分に工夫を凝らし、Z世代がつい見たくなるようなコンテンツ作成に励む必要があるでしょう。

Z世代のショート動画人気については先述した通りですが、ショート動画には時間が短いことの他に、縦型の画面で視聴するという特徴があります。

縦型コンテンツは、YouTubeなど従来の横型コンテンツと比べて、スマートフォンを横向きに持ち替えずに視聴することができるため気楽に視聴できるのがメリットです。動画が画面いっぱいに表示されるため、没入感が得られやすい点もメリットとなっています。

さらに縦型ショート動画のプラットフォーム「TikTok」「YouTubeショート」「Instagramリール」では、高性能なアルゴリズムにより一人一人のユーザーの興味・関心に合わせた動画が大量に流れる仕組みになっているのも特徴です。自分好みにパーソナライズされた短時間で見られる動画が溢れているため、Z世代の私たちは時間に余裕がある時に一気見したり、隙間時間に視聴したりしています。

これまで見てきたように、Z世代は大量のコンテンツに囲まれながらも「自分の価値観に沿った多様な情報を学び取りたい」という思いを持ってコンテンツを取捨選択しています。その中でも、ダンス動画など「真似して投稿したくなる」という他の世代にはあまり見られないZ世代独自の価値基準に基づいてコンテンツ選択をしているのも特徴的です。Z世代である私たちは“自分にとって良いと感じられるもの”と“他のZ世代の価値観”とのバランスを無意識的に取りながらコンテンツを選び取っているのです。

独自の価値観のもと、パーソナライズされた情報で満たされた環境をうまく使いこなし動画を捌いているZ世代の興味を引くためには、リアルな実態に合わせた工夫を行い、簡潔でテンポよく消費できるコンテンツが求められています。

▶︎ 次回『Z世代が語る SNS動画運用のコツ』では、Z世代が惹かれる動画コンテンツとはどのようなものか、具体的なSNS動画の運用方法について考察を行います。

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企画編集担当
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企画・構成・編集:みーちゃん/執筆:西村

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