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“気持ちの奥”まで想像する、ユーザー起点の企画づくり

2025.05.29
SHEARE

クライアントから依頼を受けてSNS運用や広告などの企画を立案する際、「どれだけ斬新で面白い内容を考えるか」が大切だと思われがちです。しかし企画の本来の目的は、クライアントとユーザーの間に立ち、双方を結び付けることです。いくら斬新なアイディアの企画を考えたとしても、それがクライアントとユーザー、双方にとって有益なものでなければ意味がありません。

ではクライアントとユーザーそれぞれが“本当に”求めていることは何なのでしょうか。表に出ているニーズはほんの少しの部分だけであって、その奥底の部分には当事者もまだ気づいていない本音が隠されているかもしれません。

私は前職では銀行員として、お客様の悩みに向き合ってきました。また新入行員を対象とした悩みや不安を解決するためのコンテンツをSNSで発信してきた経験を持っています。今回はそんな私自身の経験と考えを踏まえて、クライアントとユーザーを結ぶ企画に求められるポイントについてお伝えしていきます。

「人はドリルが欲しいのではない。8ミリの穴が欲しいのだ」。マーケティング論で有名なセオドア・レビットの言葉です。

私は大学時代に聞いたこの言葉に感銘を受け、銀行で営業を行う際にも常に大切にしてきました。まずはこの言葉を軸に「良い企画とは何か」を考えていきましょう。

前提として、企画を考える際には、あくまで「ユーザー起点」であることが大切です。ユーザーの本音や悩みといった「真のニーズ」を引き出した上で、それをクライアントの商品や強みで解決できることを示すのが「良い企画」の基本です。

つまり「ドリルが欲しい」という表面的なユーザーの言葉でも、「ドリルを売りたい」という企業の思いでもなく、「8ミリの穴が欲しい」というユーザーの真のニーズを企画の起点となります。だからこそ、真のニーズを引き出すコミュニケーションが重要となるのです。

ユーザーの「真のニーズ」は、必ずしも言葉でこちらに伝えてもらえるわけではありません。ユーザーが求めていることを見つけるためには、相手の気持ちの奥を考える「想像力」がとても重要になります。

想像力を高めるコツは、日頃のコミュニケーションから相手の気持ちを一歩引いて考える習慣をつけること。例えば私の場合、銀行員時代に多くのお客様と接する中で、想像力を働かせることを常に意識していました。お客様がご不満な気持ちをこちらに伝えてくれる際にも、相手の「怒りの感情」のみに集中するのではなく、一歩引いて気持ちの奥を想像することを心がけていました。

そうすると、「蔑ろにされているように感じて悲しかったのかも」「やりたいことがあるのかも」といった、表面化していない相手の本音が見えてきます。その本音に対して何ができるかを考えることで、本質的な解決の糸口が掴めるのです。

日常的に相手の気持ちの奥を想像することが習慣づいていると、SNSのユーザーなど直接コミュニケーションが取れない対象に対しても想像力を働かせることができます。それがさまざまなライフスタイル、価値観を持つユーザーに刺さる企画を考える上での武器となります。

ユーザーの真のニーズを想像するだけでなく、「先回りして解決の手段を示す」ことが良い企画の条件となります。

例えば私が新入行員向けに発信していたSNSは、まさにそれでした。入行当時はワクワクして希望に溢れているけれど、業務を行う内に段々と悩むことも増えていく。そんな不安を解消してあげられるようなコンテンツを先回りして発信することを意識したことで、多くの新入行員に刺さる内容となったのだと思っています。

真のニーズというのは、本人もまだ気づいていないことも多いものです。そんな潜在的なニーズまでも汲み取って、解決の方法を示してあげることで、ただ有益なだけでなく“刺さる”企画としていくことができます。

企画を考える際には、ユーザーだけでなくクライアントのニーズ把握も欠かせません。クライアントの依頼をそのまま受け止めて形にするだけでなく、プロの視点から客観的に見て、最適な手段を提案することが大切です。

例えばSNS運用支援であれば、大抵は「Instagramをもっと強化したい」「SNSを通じて集客を増やしたい」といった形でクライアントから依頼が届きます。しかしふたを開けてみると、「手軽に広告できそう」「Instagramで流行っている同業者を見た」といった理由で依頼をしているケースが多いのが実情です。

しかしそれがクライアントの強み、ターゲット、コンセプトに必ずしも合致しているとは限りません。クライアントとコミュニケーションを取りながら、最適な手段を提案することも、企画において大切なステップです。

ユーザーの本音、悩みといった「真のニーズ」を「クライアントの強み」を踏まえた最適な手段で解決する。これがユーザーとクライアントを結ぶ「企画」になります。

例えば食品会社をクライアントとして考えてみましょう。そのクライアントが20、30代のファミリー層をターゲットとしている場合、その層で近年流行りのコンテンツとして支持されているものに「時短料理」があります。

ここで安易に時短料理コンテンツを企画するのではなく、時短料理の流行りに隠されたユーザーの本音を想像することが重要です。共働きが当たり前の時代に「毎日朝から夜まで働いてヘトヘトに疲れている。でも美味しいご飯をつくって、家族で食卓を囲みたい」、そんな本音が隠されているかもしれません。つまり時短料理そのものではなく、「ゆとりある生活」「キラキラした日常」への憧れがあることが想像できるのです。もっと踏み込んで考えると「理想のパパ・ママになりたい」という思いがあるかもしれません。

それを踏まえ、ユーザーの「真のニーズ」を、クライアントの商品で満たす企画を考えていきます。例えば「クライアントの商品を使用した時短・映え料理レシピ」。商品の良さのアピールという「企業目線」ではなく、この商品を使うことで実現できるキラキラした日常をイメージさせる「ユーザー目線」のアカウント設計とすることが重要です。

さらに時短レシピだけでなく「理想のパパ・ママ」のヒントになるようなコラムコンテンツを企画するなど、よりユーザーのロイヤリティを高める工夫をすることも考えられます。

「“気持ちの奥”まで想像する、ユーザー起点の企画」5つのポイント
  • 企画はあくまで「ユーザー起点」で考える
  • 「想像力」を高め、ユーザーの真のニーズを引き出す
  • 悩みの「先」を解決できる手段を提示する
  • クライアントにとって最適な「手段」を提案する
  • ユーザーの「真のニーズ」と「クライアントの強み」を結ぶ企画を考える

時代の流れに合わせてユーザーの本音や悩みはめまぐるしく移り変わっていくものだからこそ、常に今のユーザーの「真のニーズ」にキャッチアップする姿勢が重要です。表面的なトレンドを鵜呑みにするのではなく、その背景にある複合的な要素を想像し、形にできるような企画づくりを心がけていきましょう。

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よっしー
トガル株式会社 SNS企画者
よっしー
トガル株式会社 SNS企画者
「伝える」よりもまず、「読み取る」ことからはじめたい。こころの奥にある“まだ言葉になっていない気持ち”を想像し、言葉やコンテンツに翻訳して、届ける形を大切にしています。

企画・構成・編集:よっしー/執筆:西村

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