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ブランドは“トレンド”にどう向き合うべきか

2023.09.12
SHEARE

デザインを考える上で、“トレンド”を避けては通れません。それはファッションでもWebデザインでも同様です。世の中のあらゆるデザインは、トレンドを取り入れながら絶えずアップデートされています。

一方でどのようなブランドにも、そのブランドの軸をなす“アイデンティティ”が存在します。このアイデンティティを軸に据えていないデザインでは、そのブランドならではの世界観・個性を表現することはできません。

それでは良いデザインをつくりあげていくために、ブランドはトレンドをどう取り入れていくべきなのでしょうか。今回はブランドとしてのトレンドとの向き合い方について、トガルのデザイナーの岡崎に話を聞きました。
この記事は、名古屋でホームページ制作を行っているトガルがお伝えします。

トレンドとは、ファッションの流行や話題になっているもののことを指します。端的に言うと、「今現在において大勢の人が支持しているもの」がトレンドです。多くの人が支持し、真似をすることによって、トレンドは大きく広がっていきます。

そんなトレンドのポイントは「変化するものである」ということ。「変化」の中には、今のトレンドが形を変えて広まっていくということだけでなく、支持されなくなり衰退することも含みます。トレンドとは今現在流行っているものの“最先端”をとらえたものであり、デザインにトレンドを取り入れる上で最新情報をキャッチするという視点は欠かせません。

ブランドアイデンティティとは、そのブランドの軸をなすものです。トレンドが世間一般の流行を捉えたものであるに対して、アイデンティティは「このブランドは誰に向けたものなのか」「どういう価値を与えていきたいか」という、そのブランドならではの定義づけをされます。

ブランドアイデンティティが重要なのは、すべてのブランド施策を考える際の指針となるためです。カラーやトーン、ブランドメッセージなど、ブランドを構成するすべての要素を貫き、進むべき方向性の道しるべになります。

そしてそのブランドにしかないアイデンティティを打ち出し、広く浸透させていくことは、消費者との関係構築にもつながります。消費者がそのブランドをイメージしやすくなるとともに、他にはない違いを引き立たせることで、競合優位性を保つことも期待されます。

つまりブランドアイデンティティは自社ブランドを形作るものであると同時に、世間一般の消費者とブランドをつなぐものでもあるということです。

ブランドアイデンティティ自体は、基本的にどのようなブランドにも存在します。しかしそれをいかに明確に打ち出し、自社内だけでなく世間にも浸透させていけるかがカギとなります。

長期的な戦略の中でブランドアイデンティティがブレてしまうようでは、ブランドを確立させていくことはできません。時代が変化してもブレないものであること、これがブランドアイデンティティの重要なポイントです。

「デザインにはトレンドを押さえることが重要」というのは多くの人の中に共通認識としてあることだと思います。しかしそもそもなぜ、デザインにおいてトレンドを押さえる必要があるのでしょうか。

その答えは、“ファン”という切り口から考えることで見えてきます。トレンドとは今現在、大多数に支持されるもののこと。それをデザインに取り入れることで、多くの人の興味・関心を惹くことができます。それにより、新しいファンを獲得できる可能性がぐっと高まるのです。

例えば確立された世界観を持つ老舗ファッションブランドであっても、実は時代に合わせたトレンドを取り入れてアップデートを繰り返しています。だからこそ新規ファンを獲得しながらブランドを存続させることができているのです。

ブランドアイデンティティの重要性もまた“ファン”という切り口から考えることができます。トレンドは大多数が支持するものなので、「常にトレンドのみを追っていたら人気を持続できるのではないか」と思われる方もいるかもしれません。

しかし「今トレンドとなっている○○を取り入れた商品が欲しい」というニーズを持つ人は、特にブランドを決めずに商品を選ぶことでしょう。大量の情報に囲まれ豊富な選択肢を持つ消費者に自社のブランドの商品を選び取ってもらうというのはなかなか難しいことです。

前述した通り、ブランドアイデンティティの意義は他社との差別化、消費者との関係構築にあります。ブランドアイデンティティを軸にしたブランドイメージが世間に浸透していれば、他社と差別化でき、選んでもらいやすくなります。また消費者との関係が構築できていれば、「あのブランドのものが欲しい」と選択肢に最初から入れてもらえるようになります。つまりブランドアイデンティティは“根強いファン”づくりをしていく上で重要な役割を果たすのです。

このように、ブランドの継続的な発展には「ブランドアイデンティティの浸透によるファンづくり」と「最先端のトレンドを取り入れることによる新たな層へのリーチ」の両輪が大切です。

とはいえ移り変わりの早いトレンド情報をキャッチし、ブランドアイデンティティも踏まえた上で効果的に取り入れていくのは難しいものです。次の章では、ブランドとしてどうトレンドに向き合うべきか、重要ポイントを3点ご説明します。

トレンドの要素を分解する

トレンドを取り入れてはいるものの、没個性になってしまっているデザインは少なくありません。それはトレンドを漠然と捉え、丸々取り入れてしまっていることに起因します。

トレンドには必ず構成要素があります。例えばファッションのトレンドであれば、カラー・素材・シルエットなどの構成要素に分解することができます。トレンドとは多くの人が支持し、真似することによって広まっていくもの。それぞれの要素がどの層に、どのように支持を得ているのかを理解することが大切です。

トレンドを構成要素に分解していくと、自社のブランドに合うものか、合わないものか判断しやすくなります。そうすることでトレンドを適切に取り入れることができ、逆に「取り入れない」という選択をすることもできるようになるのです。

ブランドのアイデンティティに立ち返る

トレンドを取り入れる・取り入れないの判断は、ブランドアイデンティティを軸として行います。

このブランドアイデンティティをもう少し具体的に説明すると、「アイデンティティ=自己同一性」と表現されるように、ブランドが人間のように一貫した価値基準やパーソナリティを持つことを意味します。

「ブランドミューズ」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ブランドミューズは、そのブランドや企業のブランドアイデンティティを体現する女性を意味します。ハイブランドの多くはミューズと呼ばれる存在を立て、そのミューズに選んでもらえるものになっているかどうかを軸にデザインを考えていきます。マーケティング分野の場合「ペルソナ」がミューズに近い存在になります。

トレンドは大多数の人が支持しているものですが、必ずしもそこに自社のブランドのミューズ、あるいはペルソナが含まれているとは限りません。ファンの輪を広げていくためにトレンドを取り入れることは重要ですが、訴求したい対象が含まれていないトレンドを取り入れることでブランドアイデンティティがブレてしまう可能性があります。

必ず自社のブランドアイデンティティに立ち返った上で、トレンドに向き合うこと。この姿勢がトレンドを取り入れたデザインを展開していく上で最も大切になります。

トレンドの背景を理解する

トレンドは多くの人が支持し、真似することで生まれます。だからこそ、トレンドが生まれた背景には、その時代の価値観や環境の変化、課題などを見ることができます。

ファッショントレンドは世界的なコレクション発で広がっていくのが一般的ですが、有名人やインフルエンサーなどの著名人が着用したことによってトレンドになるものもあります。そのファッションがトレンドとなった背景をみることで、どのような商品がどのような経緯でどのような層から支持を得ているのかという“価値観”を見ることができます。

Webデザインの例で言うと、近年フラットなデザイン が流行しています。その背景には、「メディアが多様化しており、さまざまな利用シーンで展開されやすくする必要が出てきた」という環境の変化があります。

ブランドアイデンティティは一種の「自社の普遍的な立ち位置」を表明するものになりますが、ブランド自体は大きな変化を繰り返す時代の中で成長し、発展していく必要があります。そのためには変化を捉える姿勢が欠かせません。トレンドになったデザインそのものだけでなく、その背景も含めて知ることで、時代の変化に自社のブランドがどうフィットしていけるのかを探ることができるのです。

ブランドとしてのトレンドへの向き合い方5つのポイント
  • 「トレンド」と「ブランドアイデンティティ」の意味を正しく認識する
  • トレンドは丸々取り入れるのではなく、構成要素に分解する
  • ブランドのアイデンティティに立ち返る
  • トレンド=最先端のもの。トレンドの背景を通して時代の変化を捉える
  • 従来のファンと新たなファンの双方に価値提供することを意識する

多くの人を惹きつけるデザインは、ブランドアイデンティティの軸がブレることなく、トレンドを上手く取り入れています。

トレンドを構成する要素を理解し、ブランドのアイデンティティにしっかりと向き合えば、「トレンドを追う」のではなく「トレンドを押さえた」デザインができます。

今いるファンに喜んでもらい、新たなファンにも価値を提供できるよう、トレンドをデザインに昇華させていきましょう。

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デザイナー
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伝えたい人に伝えたいことが伝わるように。

様々な生き方がある現代。それぞれの考えに寄り添い、心を動かすひとつのきっかけとなるものをつくっていきたい。

企画・構成・編集:みしゃん/執筆:西村

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