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Z世代の価値観から紐解く「SNS」

2024.02.29
SHEARE

インターネットの普及後に生まれたZ世代は、今や消費の中心的存在であり、トレンドや流行を牽引していく役割を担っています。そんなZ世代の生活と深く関わりがあるのがSNS。現代におけるライフラインの一つといっても過言ではないSNSを、Z世代は“SNSネイティブ”として使いこなしています。

今回は多種多様なコンテンツが展開されているSNSに対して、Z世代はどのような価値観で向き合っているのかを紐解いていきます。


この記事は、名古屋でZ世代向けSNSマーケティングを行っているトガルがお伝えします。

トレンドの先端に立つZ世代の価値観を知ることは、企業のマーケティングの上でも重要です。特に消費行動においてZ世代はどのような価値観を持っているのか、具体的に解説していきます。

これまでZ世代を中心にブームになったものを振り返ると「レインボーチーズサンド」「タピオカ」など、爆発的に流行し、時間の経過とともに落ち着いていくものも少なくありませんでした。そのため、世間一般的なイメージとして「Z世代は突発的かつ一過性の流行を追い求める傾向がある」と思われがちです。しかし、実はそうではないのです。

まずZ世代の大きな特徴として、経済面での“堅実性”が挙げられます。Z世代は、リーマンショックに起因する世界的な長期不況の中で成長してきました。そのため浪費や衝動買いを好まず、貯蓄や節約への意識が高いという、“堅実かつリアリスト”な価値観を持っているのです。それは「コストパフォーマンスが高い商品に魅力を感じる傾向がある」というZ世代の消費行動にも表れています。

またZ世代はコロナ禍での学生生活を経験していることなどから、「体験」を重視する傾向があります。しかし「刺激的な体験がしたい」というよりも、「コツコツと自分のQOL(生活の質)を上げたい」ということに重点を置いているのもZ世代の特徴です。そこにもZ世代ならではの“堅実性”や“リアリスト”な一面を見て取ることができるでしょう。

一方で、Z世代はただ消費に対して消極的だというわけではありません。自分が本当に価値を感じるものに対してはお金を惜しまない、というのもZ世代にみられる傾向です。コストパフォーマンスをシビアに見つつ、自分の日常をより彩るために必要なことにはお金をかける、この「メリハリ消費」もZ世代特有の価値観に基づく消費行動です。

生まれたときからインターネットが普及していたZ世代は、幼い頃から多様な価値観に触れているため「ダイバーシティ」を尊重する意識が育まれています。それと同時に「自分自身の個性や価値観も尊重されるべき」「自分を表現することが当たり前」という環境の中で育っているのも特徴です。

そのため、Z世代が商品やサービスを選び取るときに重視するのは「一般的に人気があるかどうか」よりも「自分らしいどうか」。つまり「他人軸」ではなく「自分軸」で選択しているのです。世間で評判になっているものでも、果たしてそれが「自分軸」に合っているのか、その場所やそのサービス、その衣装に身を包む自分を思い描くことができるか、という価値観のもとで商品やサービスを選び取っています。

この「自分軸」には単純に自身の趣味嗜好だけでなく、外見的な特徴を含む“自分自身”が反映されています。例えば世間で可愛いと話題のワンピースをInstagramで発見したときにZ世代が真っ先に抱く感情は「可愛い」よりも「自分に似合うのか?」。Z世代にとって自分を表現するのが当たり前だからこそ、外見も含めた“自分”という人間をより良く演出できるための商品・サービスを選んでいっているのです。

近年女性を中心に注目を集めるパーソナルカラーや骨格診断は、まさにそのことを象徴しています。「好きだから」「可愛いから」を優先するのではなく、肌の色や骨格タイプを把握した上で、自分をより良く見える商品を選ぶという消費傾向は、「自分軸」を重視するZ世代の価値観を表しているといえるでしょう。

SNSは単なる情報収集ツールの域を超えて、今やビジネスプラットフォーム、自己表現など世代を問わずさまざまなシーンで活用されています。

その中でも、SNSの中心的な担い手であるZ世代のSNSとの向き合い方は、時代とともに常にアップデートされています。ここからはZ世代の価値観を通じて見るSNSの“今”を見ていきます。

堅実でリアリストな性質を持つZ世代は、購入や体験する際に「失敗したくない」という思いを強く持つ傾向があります。そのため、入念に情報収集をした上で実際の消費行動に移すのが一般的です。そのZ世代の情報の入手先として、SNSが大きな役割を果たしています。

ただし何となくSNSを使って情報を調べているわけではありません。商品購入の際にコストパフォーマンスを意識するのと同様、Z世代はSNSを使用する際には「タイムパフォーマンス」を重視しています。

限られた時間の中で、大量の情報の海から自分の必要な情報を選び取る必要があることから、この「タイパ重視」の行動はZ世代にとって当たり前のものとなっています。タイパ重視のコンテンツであるTikTokやYouTubeショートがZ世代からの大きな支持を受けて流行したことは、この傾向を強く表しています。お金だけでなく、自分の時間に対しても無駄を省くことを重視するのがZ世代の特徴です。

こうした特徴は、LINEなどでのコミュニケーションにも表れています。Z世代が好むのはリアルタイムでの短文でのやり取り。必要な情報だけをリアルタイムでやり取りするこのZ世代の傾向は、絵文字や顔文字を多用したり、長文を送ったりする傾向のある他の世代と比較すると際立ちます。

かねてよりSNSは、多くの共感や称賛を得るための「自己アピール」としての用いられ方をしてきました。しかしZ世代は現在、「バズ」や「いいね」、「インスタ映え」を求めてさまざまな投稿がなされていた従来のメインストリームを脱却しつつあります。フォロワー数に縛られることなく、日常生活を切り取ってありのままをさらけ出せるような狭いコミュニティを楽しむ、という価値観に変化しているのです。

その兆候は、Z世代で流行しているアプリ「BeReal」からもうかがい知ることができます。「大人が知らない流行アプリ」とも呼ばれるこのアプリは、毎日1回の写真投稿をベースとしており、毎日ランダムな時間に通知が来て、写真の投稿を促されます。フィルター機能もなく、ただ写真を摂って投稿するだけであるため「盛れ」や「映え」の要素は一切ありません。

ではなぜこれまでの「盛れ」や「映え」を重視する傾向とは対極のアプリが流行しているのでしょうか。その背景にはSNSとともに生きてきたZ世代の「SNS疲れ」があります。いいね数や保存数が評価として目に見えるInstagramやTikTokのプレッシャーをじわじわと感じるようになってきたことから、等身大の自分を映し出し、狭く深いコミュニティの中で楽しむSNSに好意を持ち始めているのです。

Z世代の間でこうした「リアル」を発信するSNSが流行していることは、「盛れ」や「映え」を重視するSNSから一歩先の新たなフェーズに移行しているといえるでしょう。

一般的に、SNSを始めとするインターネット上のコミュニケーションは、知り合い以外の人も含めたオープンなものであることが前提となっています。しかし前述したように、より“リアル”な発信が好まれるようになっている今、Z世代にとってのSNSはクローズドなコミュニケーションを取る場となっている傾向があります。つまり広く世界に向けて「映えている」自分を発信するのではなく、狭く深いコミュニティの中で興味・関心の合う人と交流を深めるためのものになってきているのです。

一方で、コミュニティ自体はより多様化・細分化しているのも特徴です。Z世代の多くはアカウントを複数作成し、自分の興味のある分野に応じて使い分けています。自分にフィットするコミュニティを複数選択しているというこのSNSの利用方法の背景には、Z世代特有の「自分軸」の価値観も見て取ることができます。

SNSの進化は、アップデートされていくZ世代の価値観と呼応しています。例えばショート動画の流行や、AI・アルゴリズムの発達によるパーソナライズ化されたタイムラインなどは、膨大な情報の中から効率的に自分に合った情報を選び取っていきたい、というZ世代の「タイパ重視」の価値観が反映された進化といえるでしょう。

しかしこのことが将来的に及ぼす影響も懸念されます。それは、最小化され、パーソナライズ化された情報が「情報の断片化」を引き起こすという点です。

断片化された情報を次々と享受できるショート動画は、1つのコンテンツに対する集中力の低下につながる可能性があります。また連続性のない短い情報を受け取り続けることは、情報同士を論理的につなげるという「論理的思考力」の低下につながりかねません。

その最小化された情報が、さらにパーソナライズ化されていくことで、「情報の断片化」は加速します。自身の嗜好に基づく情報のみが表示されることは、多様な価値観への理解を阻害することにもつながってしまうかもしれません。

Z世代にはこうした「情報の断片化」を認識した上で、意識的に包括的で幅広い情報を受け取るアクションを起こしながらSNSと向き合っていく必要があるでしょう。

消費の中心となるZ世代に企業が訴求していくためにはSNSの活用が欠かせません。最後に、Z世代の価値観に応じてめまぐるしく進化していくSNSと企業はどう向き合うべきなのかを解説します。

SNSはZ世代の生活と密接に関係しています。特に堅実な消費傾向があり「失敗したくない」という思いを持つZ世代は、商品やサービスの購入の際に、事前にSNSで入念な情報収集をしています。

だからこそZ世代に選ばれるためには、SNSを通じてなるべく詳細な情報を発信する工夫が重要です。「タイパ重視」のZ世代に向けて、短い時間で多くの情報を得ることができるショート動画を作成することも有効でしょう。特に重要なのは、購入・体験した“後”の情報です。どのような効果があるのか、その場所でどのような写真を撮ることができるのかという具体的な情報を掲載することは、安定志向のZ世代に安心して選んでもらえる要素となります。

Z世代が商品やサービスを選ぶ際に重視するのは、世間一般の評判ではなく、「自分に合っているかどうか」です。企業が商品やサービスを発信する際には、Z世代がそこに“自分”を介在させられるような余白を残すことが重要です。

例えばファッションブランドであれば、最近はモデルの顔を写さず首から下のみを写す投稿も増えています。モデルの顔を写さないという「余白」があることで、その服が自分に合っているかをより想像しやすくなります。

またお出かけスポットであれば、映えスポットを単体で写すのではなく、人物と一緒に写すことも有効です。そうすることで「自分がここに行ったらどうなるか」ということをイメージしやすくなるのです。

主要なSNSマーケティング手法に「インフルエンサーマーケティング」があります。SNSにおける影響力の高いインフルエンサーを自社の宣伝に起用するこれは、多くの人に呼び掛けていくためには非常に有効な手法です。一方でSNSがZ世代にとってより細分化されたコミュニティとなりつつある今、単に影響力の高いインフルエンサーではなく、そのコミュニティの中で受け入れられているインフルエンサーを起用することが重要です。

広告においても同様の考え方ができます。テレビCMと違い、SNS広告はターゲティングできる以上、そのコミュニティに合った広告表現としていくのは必須です。細分化されたコミュニティの嗜好を分析していく上で、自社でいくつか閲覧用のアカウントを設定し、趣味・嗜好に合わせてパーソナライズ化すると参考になるかもしれません。

Z世代の価値観から紐解く「SNS」 5つのポイント
  • Z世代は保守的かつ現実主義な存在である
  • Z世代はSNSを通して「自分軸」を探している
  • Z世代の「タイパ主義」を理解する
  • 従来のSNSとの違いを知る
  • Z世代の価値観とSNSの相互関係を知る

進化を続けるSNSと、トレンドを創り出す存在であるZ世代は呼応し合っています。SNSがその役割や性質を変化させるとき、Z世代の意識や価値観も伴って変化し、Z世代の意識や流行が変わるとき、SNSもまたその役割や性質を流動的に変化させています。企業がZ世代をターゲットにアプローチを行う際には、Z世代の価値観と、それに合わせて変わっていくSNSのトレンドにキャッチアップしていくことが重要です。

とはいえ、価値観の変化は時代の空気に合わせて生まれるものであり、インターネット上に顕在化していくのには時間がかかります。例えばBeRealに象徴されるような「つくり込んだSNSへのプレッシャー」などは、インターネットを眺めているだけではなかなか見えてこない傾向です。企業はグループインタビューを行うなどZ世代の“リアルな声”を収集する機会も持ちながら、Z世代特有の価値観を掴んだ有効なSNSマーケティングを進めていきましょう。

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ぽん
企画編集担当
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企画・構成・編集:ぽん/執筆:西村

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