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Z世代が語る SNS動画運用のコツ

2023.10.20
SHEARE

前回の「Z世代が語る 動画視聴実態」ではZ世代の情報との向き合い方や価値観を紐解いた上で、実際にどのように動画を視聴しているのかを紹介しました。

今回はその動画視聴実態を踏まえた「SNS動画運用のコツ」を、引き続きZ世代の筆者の視点から解説していきます。
この記事は、名古屋でZ世代向けSNSマーケティングを行っているトガルがお伝えします。

01
動画運用の前提となるステップを理解しよう

Z世代の「行動喚起」につながる3つのステップ

今回紹介するのは「動画を視聴してもらうための運用のコツ」ですが、その前提として、そもそもの動画コンテンツの目的と、そのためのステップを理解しておくことが重要です。

企業やブランドが動画コンテンツを制作する目的は、動画を見た人に商品購入などの何かしらの行動を起こしてもらうことです。その目的を見失って「少しでも動画を見てもらうこと」が目的になってしまっては本末転倒になりかねません。

しかし反対に、いきなりその目的を達成しようとしてもなかなかうまくいかないでしょう。一生懸命制作しても、そもそもZ世代に見てももらえないものになってしまう可能性もあります。目的を達成するためには、適切なステップを踏んで動画を制作することが必要です。

ステップの1つ目は、まずは数ある動画コンテンツの中から選んでもらうこと。特にZ世代は幼い頃から大量の情報に囲まれており、情報を捌くことに慣れているため、その高速の審美眼にかなうための工夫が必要です。

しかしただ選ばれるだけでは目的は達成できません。次のステップとして、動画を最後まで見てもらうための工夫も重要となります。

そして最後のステップが、Z世代の行動を喚起する動画とすることです。「見て終わり」ではなく「行動してもらう」ために、どのような動画であればZ世代の行動を喚起できるかを考える必要があります。

今回はこの3つのステップに沿ってZ世代に向けた動画運用のコツを紹介していきます。最後にはそれらを踏まえたSNSごとの運用のコツを紹介します。

02
数ある動画の中からZ世代に“選ばれる”ためのコツ

サムネイルで惹きつける

動画のサムネイルとは、実際に動画の中身を見なくても内容が一目でわかる小さいサイズの画像のことをいいます。数ある動画の中から選んでもらう上で、動画サムネイルでいかに視線を捉え興味をそそることができるかは非常に重要なポイントです。

サムネイルは視覚的にユーザーを引き寄せる力がありますが、サイズが小さいため雑然とした内容では目に留まりません。小さいサイズの中でいかにZ世代のツボを刺激していくかには工夫が必要です。

ポイント
・タイトルとデザインをわかりやすくインパクトのあるものにする
・一目で動画の内容を理解できるようなオリジナルのキャッチコピーをつける
・視認性の高いフォントや色、サイズを使用し、整理されたレイアウトデザインとする

Z世代に刺さるサムネイルの例をいくつか見ていきましょう。

①は手書き風の文字がかわいく惹きつけられるサムネイルとなっています。内装も相俟ってカフェの世界観が一目で伝わり、一瞬で「見てみようかな」と思わされます。

②は「東京」「今話題」というシンプルで訴求力の高いコピーが目を惹きます。「ショート動画の短い時間の中で最先端の情報が得られる」という点もZ世代の価値観とマッチ。タイトルのフォントや配置も見やすいため視認性が高いのもポイントです。

③はフォントや文字の背景が可愛く、珍しい形という点で目を惹かれるサムネイルです。「Z世代っぽいフォーマット」を使えばある程度簡単にそれらしいサムネイルは作成できるのですが、似たようなもので溢れてしまうのでかえって埋もれてしまいかねません。流行を踏まえつつ、少し新しい要素を入れると目を惹くことができます。

また身近なエリアでの新情報を得られるのもポイントです。「発見」という言葉を使っていることも、訪れている人目線のリアルさが感じられる、興味をそそられるサムネイルとなっています。

(以下元の原稿:またZ世代に大人気の格安ネット通販SHEINの実店舗が原宿にあるんだ、という新情報を得られるのもポイントです。「発見」という言葉を使っていることも、歩いている人目線のリアルさが感じられる、興味をそそられるサムネイルとなっています。)

ちなみに動画のサムネイル設定はSNSによって変わります。YouTubeやInstagramのリールの場合は、動画とは別につくりこんだ画像を設定できます。一方でYouTubeショートやTikTokなどのショート動画の場合は動画内のワンシーンを使用する場合が多いため、サムネイル使用を見越した動画制作が必要です。ただしこれらもアップデートによって方法が変わる場合があるので、注意しておく必要があるでしょう。

冒頭の数秒で心をつかむ

サムネイルで視線を惹きつけ動画を再生されてからは、最初の数秒が勝負です。特にTikTokではおすすめ動画が自動的に再生されていくため、サムネイルよりも最初の数秒が重要視される傾向にあります。

前回の「動画視聴実態編」でお伝えしたように、Z世代の集中力は1コンテンツあたり8秒しか続きません。そのため、冒頭の1〜2秒で引き留め、8秒以内にグッと心を掴む必要があります。

とはいえ数秒間というのは思った以上に短い時間です。まず「無駄な時間をつくらない」「スピード感重視」は前提となるでしょう。その上で以下の手法を参考にし、冒頭にインパクトを与える構成としていくことが重要です。

①結論から伝える

動画で伝えたいメッセージを冒頭に持ってくることで、興味を持ったユーザーの心をつかむ手法です。数秒という時間を考え、メッセージは1つか2つに絞るとまとまりやすくなります。

②ベネフィットを提示する

動画のターゲット層を明確にし、そのターゲットに向けたベネフィットを冒頭から伝える手法です。自分に関係があると感じたユーザーに続きを再生してもらいやすくなります。

③あえて謎めかせる

①とは逆に、伝えたいメッセージをあえてぼかすことでユーザーの興味を惹きつける手法です。「え、どういうこと?」と思わせられれば、動画の続きを視聴してもらえます。

これらの手法を動画の内容によって使い分けることで、冒頭の数秒でZ世代の心を惹きつける動画にしていくことが可能となります。

03
タイパを重視するZ世代を“最後まで惹きつける”ためのコツ

テンポよく簡潔にまとめる

前回の「動画視聴実態編」でお伝えしたように、タイパを意識しているZ世代はテンポの良い動画に好感を抱いています。損保ジャパンZ世代映像研究課の調査によると、Z世代が快適に感じる動画の速度は通常の平均1.5倍であり、1秒あたり「12.3文字」の文章量を抵抗なく理解できるということがわかっています。スピード感があり多くの情報を伝える動画は、「短い時間で有益な情報が多く得られる」というZ世代の価値観を刺激し、最後まで視聴してもらえる可能性が高まります。

しかし、ただ速いだけの動画では「分かりづらい」と感じられ、かえって敬遠されてしまいます。速い動画の中でも必要な情報をわかりやすく伝えるためには、ビジュアル情報や効果音を活用して視覚的・聴覚的に訴えることが重要です。

動画に音声を入れてわかりやすくするのは一般的な方法ですが、最近では、投稿者自身の声だけでなくAIによる早口のナレーションがついた動画もZ世代の間で人気です。iPhoneの読み上げ機能を使えばソフトがなくてもAI音声を収録できますよ。

メリットを提示して情緒的に訴求する

論理的な情報はどれも似通ってしまうため、日々膨大な情報に触れるZ世代の心には残りにくくなります。他の動画との差別化を図るためには、「見ているあなたにとってメリットがある」ことを明示し、情緒的に訴えることが重要です。

具体的には「知らないと損をする」、「これさえすれば大丈夫」、「可愛くなりたい人必見」など、視聴することで得られるメリットを具体的に訴求することがポイントです。

①は「損したくない」、②は「センスいいって思われたい」という欲求に刺さる内容となっています。また③も、ただ面白いだけでなく「眠れなくなるほど」という少し大袈裟な表現が情緒的な訴求力を高めています。これらの表現を盛り込むことで、Z世代の動画への興味を高めるものとなるでしょう。

ストーリー仕立ての動画にする

Z世代に限った傾向ではないのかもしれませんが、やはりストーリー仕立ての動画には続きが見たくなる魅力があります。近年は漫画表現で商品をプロモーションする広告もありますが、広告に拒否感を持つ傾向にあるZ世代の私たちも「漫画だとついつい見てしまう」というのが正直なところです。動画は短い時間で多くを伝えられるため、よりストーリー仕立てに向いた表現方法と言えるでしょう。

後述するようにZ世代は“自分ゴト”に感じる程興味を持つ傾向にありますが、ストーリー仕立ての動画は必ずしも自分に身近な内容でなくても、物語の持つ訴求力が最後まで注意を引き付けてくれます。登場人物やストーリー構成を考える分制作には時間がかかりますが、その分最後まで視聴してもらえる可能性が高まるのではないかと思います。ただし、ストーリー仕立てにする際にも前述したような「テンポ感」や「冒頭で惹きつける」ための工夫を盛り込むことには注意しましょう。

インタラクティブな動画にする

インタラクティブというのは「双方向性」という意味で、「インタラクティブ動画」とはタップ・クリックなどのアクションができる仕掛けのある動画のことを指します。ただ見るだけの動画と違い、ユーザー動画コンテンツに関わることができるため、より没入感を高め、興味を引き付けることができます。必然的に視聴完了率も上がる傾向があるようです。

ポイントは、動画コンテンツへの関わり方の違いです。通常の動画は受動的に消費されますが、「インタラクティブ=双方向」の要素が少し加わるだけでユーザーの能動的な関わりが生まれます。

それを踏まえると、上記のようなギミックが仕込まれたいわゆる「インタラクティブ動画」とは異なりますが、“双方向コミュニケーション”できる仕組みがある動画も有効です。例えば動画内で問いかけをして、それに対してコメント欄で答えられるようにする、などユーザーとコミュニケーションを取ることでも視聴完了率も高めることができます。

ギミックを駆使したインタラクティブ動画は専門知識が必要となるなど制作ハードルが高いため、動画を用いたユーザーとの手軽なコミュニケーション、あるいはInstagramリールのアンケ―ト機能などを用いることから始めるのも良いかもしれません。

04
動画によってZ世代の行動を喚起するコツ

Z世代のインサイトを発掘し、「自分ゴト化」させる

Z世代は日々、個人の嗜好により最適化された情報の海を泳いでいます。そのような環境に慣れ親しんでいる私たちZ世代は、動画を見る際もパーソナライズされた体験を期待しています。せっかく動画を見てもらえても「面白いけれど、自分には関係ない」と思われてしまうと、見るだけで終わってしまいます。いかにZ世代に動画を“自分ゴト”させられるかが、行動を喚起する動画の肝となるのです。

Z世代はある動画に心を動かされると、同じような内容の動画を一気に視聴する傾向があります。しかしただ流行りの後追いをした動画では、Z世代の自分ゴト化にはつながりません。そのためにはZ世代のインサイトを発掘することが重要です。

インサイトというのは、人の行動の背景にある隠れた心理・本音のこと。例えば今世代の間で流行しているのは、着飾っていない日常的な動画です。実際、ショート動画でも作りこみすぎず、リアル感がある動画が主流となっています。

この背景にあるZ世代のインサイトは、「背伸びをしてSNSで着飾ることに疲れを感じている」「リアルな情報を求めている」というもの。日常的な動画はそのインサイトを突いたものであるといえるのです。

Z世代は日々SNSで新たな情報を得ています。自分では知らなかった発見を得ることは、情報収集の醍醐味と言えるでしょう。だからこそZ世代のユーザーが「自分でもまだ気づいていなかった」インサイトをとらえてツボを突いた動画を発信することで、Z世代の強い共感を生み出すことができるのです。

シェアやユーザー参加を通じてリアルを生み出す

幼い頃から大量の情報を捌いてきたZ世代は鋭い審美眼を持っています。広告に対する拒否反応も大きい私たちは、情報源としてリアルな口コミ情報を信用する傾向があります。

動画を通じてZ世代の行動を喚起していく上では、この“リアル”というキーワードがポイントです。もちろん有名人やインフルエンサーといった著名人を起用した商品・サービスの紹介も有効なのですが、「信用できる」「買いたい」という気持ちを呼び起こすのは一般ユーザーによるリアルな口コミとなっているのです。

そこで重要となるのが、一般ユーザーによる動画のシェア。思わず真似したくなるような要素を動画に組み込む、動画をシェアすることでベネフィットがあるようなキャンペーンを実施するなど、一般ユーザーによる二次的な発信が期待できる仕掛けをすることで、自社だけで動画を発信するよりも拡散性が確保され、さらには信頼にもつながっていきます。またSNS上でユーザーが参加できる形のプロジェクトを立ち上げると、よりZ世代の注目を集めることができるでしょう。

保存させる

ユーザーがいざ行動を起こすとなった時に、動画の内容を選択肢に入れてもらうには、その動画を見返してもらう必要があります。

Z世代は気になる投稿があれば即座に「保存」し、後から検討するための候補として、見返したい投稿を貯蔵しています。今回取り上げているショート動画メディアにおいては、TikTokの「セーブ」、YouTubeショートの「再生リストに保存」、Instagramリールの「保存」がこれに相当します。

運用において保存数を重視することで、実際に行動喚起が起こっているかを把握することができるため、今後の運用について考える鍵にもなるでしょう。

Z世代に保存を喚起する流れが起こる中で、文字と音声を効果的に活用して効率よく情報を提供するショート動画が増加しています。文字を配置する際には、視線誘導の法則を利用し、「Z」の形に沿って情報を左上、右上、左下、右下の順に配置することでより判読性が高まります。

自分で調べるのが面倒な価格帯などの詳細情報についても記載することで、有益な情報として受け入れやすい形になり、保存が促進されるでしょう。

05
Z世代を引きつけるショート動画のSNS別運用方法

TikTok

動画の最適な長さ

TikTokで作成できる動画の長さは最大60秒です。しかし実際にはスクロールしながらテンポよく視聴できる15秒程度の動画が好まれる傾向にあります。

内容

各SNSで好まれる内容の詳細は、前回の「動画視聴実態編」をご覧いただければと思います。TikTokでは「ダンス系」の動画が好まれていることから、アカウントを運用する中の人や起用したインフルエンサーのダンス動画を投稿することでコメント欄の盛り上がりが期待できます。

また、ユーザーたちがトレンドを作り上げていく傾向があるためのもTikTokの特徴です。真似しやすいダンスや音源を作成して動画に盛り込むことも効果的でしょう。

YouTubeショート

動画の最適な長さ

YouTubeショートはチャンネル登録への導線の役割も担っています。ユーザーにとっても、ネタ探しや暇つぶしだけでなく、ショート動画をきっかけに興味のあるチャンネルを見つけるきっかけになっています。そのため、サクッと視聴できる、かつチャンネルへの興味を喚起できる程度に内容の伝わる30秒くらいがちょうど良いでしょう。

内容

YouTubeショートは好まれる内容にかなり男女差がありますが、男女ともに比較的エンタメ系の人気が高くなっています。ショート動画を制作する際も、本編の切り抜きをする際も、ネタになるような面白さを意識すると良いでしょう。

また動画の最後や概要欄に動画本編のURLを貼ることで、本来の目的である長尺動画、チャンネル登録への誘導が可能となります。ショート動画と長尺動画、そしてチャンネル全体の雰囲気にギャップがないかということにも注意が必要です。

Instagramリール

動画の最適な長さ

Instagramではフィード、ストーリーズ、リールという異なる形態でそれぞれ動画を投稿することが可能です。それだけにユーザーからしても膨大な情報量の中から興味のあるコンテンツを見つけていく必要があります。フィードの動画は30秒、ストーリーズは15秒、リールであれば、選択肢の中で最も短尺である15秒までが勝負であると考えられます。

内容

Instagramリールはおすすめ欄やリール欄だけでなく、検索画面にも大きな面積で表示されます。そのためInstagramで特に人気のあるジャンルの「美容・ファッション」「飲食店」「遊び場所」に関する内容にすることで、検索画面からの閲覧数を向上させることができると考えられます。

Z世代向けSNS動画運用5つのポイント
  • サムネイル・冒頭数秒で引きつける
  • テンポよく簡潔にまとめる
  • 「自分ごと化」させる
  • 保存機能を活用する
  • 各SNSの特徴に合わせた尺・内容にする

本記事では、Z世代の動画視聴実態の分析を踏まえて、独自の価値観を持つ私たちZ世代に効果的に訴求する動画コンテンツ作成のコツをお伝えしました。SNS動画リテラシーの高いZ世代の注目を集めるためには、日々移り変わる私たちの流行の背景にあるインサイトを捉えながら、テンポと構成を工夫した動画を発信していくことが求められています。

▶︎ 前回の「Z世代が語る 動画視聴実態」ではZ世代の情報との向き合い方や価値観を紐解いた上で、実際にどのように動画を視聴しているのかを紹介しています。

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企画編集担当
みーちゃん
企画編集担当
メディアリサーチとライティングでSNSの新たな可能性を生み出す。
Z世代の視点を取り入れ、メディアの新たな繋がりを創出する。

企画・構成・編集:みーちゃん/執筆:西村

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