Z世代の視点を取り入れ、メディアの新たな繋がりを創出する。
CONTENTS
SCROLL
SNSにおけるユーザーの“シェア心理”を読み解く
今の時代、SNSは企業や一般消費者などあらゆる人の主要な情報発信の手段となっています。
企業がSNSを運営する場合、その主な目的は投稿を通じた自社商品・サービスの認知拡大や販売促進など、いわゆるブランディング・マーケティングです。つまりSNSで行った投稿が、なるべく多くの人の目に触れれば触れるほど良いということになります。
そこで重要なポイントとなるのが、一般ユーザーの「シェア」です。ユーザーが自社の投稿をシェアしてくれることで、企業単体の発信、あるいは広告を活用した発信よりも効果的に投稿の拡散が可能となるのです。
今回はそんな「シェア」を生むユーザーの“シェア心理”を紐解いていきます。さらに、シェア心理を踏まえた「シェアしたくなる投稿のポイント」も紹介していくので、参考にしてみてください。
この記事は、名古屋でSNS運営を行っているトガルがお伝えします。
※アカウント連携により自身の投稿を複数アカウントで展開することも「シェア」と呼びますが、この記事内における「シェア」は他者の投稿を共有することに限定するものとします。
01
SNSにおけるシェアとは何か?
そもそも“シェア”とは
SNSにおけるシェアとは、インターネット上のコンテンツを、自身のSNSアカウントで他の人に共有することを意味します。簡単に言うと、コンテンツを目にした人が「こんな情報があるよ」ということをSNSのシェア機能を使って誰かに伝えるということです。
どのようなシェア機能があるかはSNSによって異なります。X(旧Twitter)の場合はリツイート機能、Instagramの場合はストーリーズシェア、リポスト機能などでシェアすることができます。
ちなみにシェアするコンテンツがブログ記事やニュース記事など、SNSコンテンツではない場合でも、シェアボタンがあればX(旧Twitter)やfacebookでシェアすることができます。
SNSでのシェアが一般化した理由は「手軽さ」
何か気になる情報を見つけたときに、それを他の人にも共有するという行為自体はSNSが普及する以前にも自然に行われてきました。しかしSNSでのシェアがここまで一般的なものになったポイントは、その「手軽さ」にあります。
いずれのSNSでも、シェアをしようと思ったらボタンひとつで簡単にできます。「良い投稿を見つけた!」から「人に知らせてあげよう」までのタイムラグがなく、その場で操作できることが、SNSにおけるシェア行為を加速させる大きな要因となっています。
企業とユーザーのSNS利用目的から見る「シェア」の意義
企業と一般ユーザーとでは、そもそもSNSの利用目的が異なります。企業がSNS運営をするのは、先にも述べた通りブランディング・マーケティングが主目的です。対して一般的なユーザーの多くは「自己表現」と「コミュニケーション」を目的にSNSを利用しています。もちろんユーザーとのコミュニケーションをメインに行う企業アカウントもありますが、それもSNSを通じたユーザーとの関係値の構築という、広義のマーケティング活動に含まれます。
企業側から見たシェアのメリットは当然、第三者からの拡散により自社の存在をアピールできるところにあります。今やSNSマーケティングの手法として市民権を得た「バズり」が良い例です。「バズり」は自社のみでは実現できないため、いかに第三者にシェアしてもらうかが大切となります。
では、ユーザーにとってSNSでシェアを行うメリットはどこにあるのでしょうか。それはユーザーがSNSを利用する目的である「自己表現」「コミュニケーション」の根底にある「自分を分かってほしい」という承認欲求、「他者とつながりたい」という社会的な欲求が関係しています。シェアを通じた情報発信によりそれらの欲求を充足させることができるのです。
この承認欲求と社会的欲求に基づくユーザーのシェア心理をより鮮明に理解できるよう、次の章で具体的に解説していきます。
02
ユーザーはなぜシェアをするのか?5つのシェア心理を解説
シェア心理1:人を喜ばせたい
人間には、「良い情報を人に教えたい」という本能的な欲求があります。自身の生活を振り返ってみても、ちょっとした情報を人に教えたり、逆に教えてもらったりというのは自然に行われていることではないでしょうか。SNSのシェアも、自分にとって価値ある情報を他人に伝え、喜んでもらうこと自体に価値を見出して行われる場合が多くなっています。
従来こうした「好意によるシェア」は、家族や友達など身近な人に教えるだけで完結していました。しかしその好意を不特定多数に還元できるようになったのは、SNSのシェア機能によって起きた大きな変化と言えるでしょう。
シェア心理2:自分という人間を表現したい
SNSは情報発信の場であると同時に、自らをシグナリング(自分がどのような存在かを発信すること)する場でもあります。それも複数アカウントを持って趣味によって使い分けたり、X(旧Twitter)、Instagram、Tiktok、YouTubeなどSNS自体も使い分けたりしながら、自分の中にある多面性を複数チャネルで発信するのが一般的になっています。
通常シグナリングは自身の投稿を通じて行われるものですが、複数チャネルでそれを表現し続けるのは大変な面もあります。そんなときにシェアが有効になります。自分の興味ある分野や商品に関する投稿をシェアすることで、自ら「これが好きです!」と発信しなくても、自分の興味や好みを対外的に発信することが可能となるのです。
シェア心理3:社交やコミュニケーションの手段としたい
友人・知人との関係を継続させたり、新たな人間関係を構築したりするためのSNSのシェアを活用することもあります。
例えば、最近直接は会っていないけれど、SNSではつながっているという友人がいる人も多いのではないでしょうか。SNSでコンテンツをシェアすることでそれに対する反応をもらうなど、SNS上でつながる人とのコミュニケーションを生み出すきっかけにすることができるのです。
また自分の好きなものを発信することで、同じものを好きな人と共鳴するなど新たな人間関係の広まりも期待できます。日常会話やインターネット上の交流の中で、何の脈絡もなく「私、これが好きなんだよね!」と話し始めるのは難しいと思いますが、シェアでなら気軽に自分の趣味・好みを発信できます。それを見た他のユーザーが「この人、このアーティストが好きなんだ!」と興味を持てば、新たなつながりが生み出され、コミュニケーションが展開されていくのです。
シェア心理4:自分の存在価値を高めたい
自分が家族や友人に勧めた映画を相手が観てくれて、「面白かった」と伝えてくれたら嬉しいですよね。このように、自分が発信者となった情報が他人に受け入れられて嬉しさを感じるのは、人に共通する感情と言えるでしょう。
SNSでのシェアは身近な人だけでなく、多くの人を対象として行われことが多くなっています。それだけに、自分がシェアしたコンテンツが広がっていけば、自分がインフルエンサーになったような気分を感じられるかもしれません。いわゆる「バズ」を引き起こせば、自分の社会的存在感を感じ、承認欲求が満たされます。
シェア心理5:好きな人・もの・ことを応援したい
自分が魅力的に感じたヒト・モノ・コトをもっと多くの人に知ってほしい、情報を広めることで人気になるためのお手伝いがしたい、応援したい!という気持ちを表明するための手段としてシェアが用いられることがあります。
この場合、ユーザーのSNSの利用目的のところで述べた「承認欲求」や「コミュニケーション」というよりは、純粋に応援の気持ちに起因するシェア行動となっているかもしれません。芸能やスポーツなどを代表に、熱狂的なファンを構築できている場合に起こるシェアと言えます。
03
シェア心理を踏まえた、SNSでシェアされやすいコンテンツのポイント
人の役に立ちたい心理に働きかける:有益性のあるコンテンツ
有益な情報を伝えるコンテンツは、それ単体でも人を惹きつけますが、シェアすることで他の人の役にも立つという特徴があります。「人を喜ばせたい」「役に立つことで自己有用感を高めたい」という心理に訴えかける点で、シェアが期待できるコンテンツと言えるでしょう。
特に、その企業だからこそ知り得る情報をまとめたコンテンツは有用です。情報の有益性はもちろん、投稿シェアを通じて企業の専門性などをアピールをすることもできます。
・○○100選のようなデータをまとめたコンテンツ
・ライフハック・生活の知恵など日常に役立つコンテンツ
・注意喚起となるコンテンツ
共感し、交流のきっかけになる:心に響くコンテンツ
心に響く、感情を揺さぶるコンテンツはシェアされやすい傾向にあります。自分が何に心を動かされたのかをシェアによって表現することで、他の人にも共感してもらい、交流のきっかけにもなることが期待されます。
有益性のあるコンテンツはその分野に興味がなければシェアされにくい面もありますが、心に響くものは比較的誰にでもおすすめしやすいのがメリットです。
特にストーリー仕立てとなっているものは人の感情に訴えかけやすいためおすすめです。自社の商品開発をストーリー仕立てで紹介するなど、個性あるコンテンツを制作すれば、シェアが期待できるたけでなく、企業としてのオリジナリティも表現することができます。
・ストーリー仕立てのもの
・感動を呼び起こすもの
・ネタ系・笑いを誘う面白いもの
・かわいい・綺麗な画像
自己表現ができる:シェアする人の意見・立ち位置を示せるコンテンツ
ユーザーはSNSという場での発信を通じて、自分を表現したいと考えています。それだけに、自分が優れた人間であることを示せるようなコンテンツ、シェアすることで自身の意見の表明ができるようなコンテンツはシェアされやすいと言えるでしょう。少し抽象的な例にはなってしまいますが、例えばSDGsに関する取り組みを行う企業の記事をシェアすることで、「環境問題にも関心が高い」という自身の立ち位置を表明できます。
ただしこれらのコンテンツを企業が発信する場合は、企業としての意見や立ち位置を明確にしておくことが前提です。またネガティブな議論を巻き起こす可能性があるもの、センシティブな内容のものなどには注意しましょう。
・SDGsなど環境問題に関連したコンテンツ
・社会問題など議論を呼び起こすもの
その他:デザイン性の高いコンテンツ、話題・流行を取り入れたコンテンツ
これまでユーザーのシェア心理を解説してきましたが、SNSにおけるシェアはかなり浸透しているため、深く考えず無意識的に行われる場合も少なくありません。それを踏まえて、「深く考えていなかったけれど、何となくシェアしてしまった」というようなコンテンツづくりも必要となります。
例えばユーザーが多くの情報に触れている中で、思わず目に留めてしまうようなデザイン性の高いコンテンツはシェアされやすいものとなります。単におしゃれだというだけでなく、メッセージがシンプルで伝わりやすいもの、トレンドを取り入れたデザインなど、トータルで洗練されたデザイン性を持つコンテンツづくりは、シェアを狙う点でも重要です。
また、今話題になっているもの、流行しているものは当然注目度が高いため、シェアされやすい傾向にあります。SNSで話題になっているものを自社の商品などに絡めてコンテンツにすればシェアを増やすことが期待できます。ただし、SNS上での話題や流行はサイクルがはやいので、最新情報をキャッチしておくことが重要です。
04
シェアを狙う上での注意点
シェア心理を踏まえたコンテンツ設計をする
企業アカウントが一般ユーザーからのシェアを狙う場合、最初に考えるのは「インスタントウィン」や「リツイートキャンペーン」などの施策ではないでしょうか。コメントやフォロー、リツイートといったアクションを行うことで、プレゼントなどのインセンティブを与える施策です。
確かにこれらはシェアを増やすことにおいて即効性を発揮します。しかし一方で、継続的に続けることは難しいという面があります。
物理的なインセンティブがなくても日頃の投稿で多くのシェアが得られるよう、前述した心理も踏まえてコンテンツ設計をすることが重要です。
ポジティブなコンテンツを心がける
自社の投稿が多くのシェアを得るということは、同時に多くの人の目に触れるということです。それだけに誤解を招いたり議論を引き起こしたりすることで、自社のイメージが損なわれる可能性も出てきます。
前提として、なるべくポジティブな内容を取り扱うコンテンツ制作を心がけましょう。一方で、ネガティブな言葉はフックとなって人の心を惹きつける側面も持っています。タイトルだけネガティブな方向から打ち出して意外性を持たせるなど工夫をしながら、多くのシェアを得るコンテンツ制作をしていきましょう。
- 一般のSNSユーザーの目的と心理を理解する
- 企業SNSを運営する上での指針を定める
- ユーザーの「シェア」の動機と心理を深く知る
- 動機や心理の理解から得た「ポイント」を投稿に落とし込む
- 多面的なアプローチによってシェアされる投稿を目指す
名古屋で「SNSにおけるユーザーの“シェア心理”を読み解く」ならトガル株式会社へ
Z世代の視点を取り入れ、メディアの新たな繋がりを創出する。
企画・構成・編集:ぽん/執筆:西村