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オウンドメディアをコミュニケーションの大黒柱に育てる

2023.08.10
SHEARE

企業マーケティングにおいて核となるのは、「ペイドメディア(購入するメディア)」、「オウンドメディア(所有するメディア)」、「アーンドメディア(信用や評判を得るメディア)」の3つのメディアです。なかでも自社で所有するオウンドメディアは、WebサイトやSNSを駆使して、情報の発信やユーザーとのコミュニケーションを行い、ファンの開拓、製品やサービスの購入や市場調査などに繋げることが可能です。デジタルが社会の隅々まで浸透しつつある現在、企業とユーザーとの出会いと対話をもたらすオウンドメディアは、企業におけるコミュニケーションの大きな柱の一つになっていくでしょう。
この記事は、名古屋でオウンドメディア制作・運営を行っているトガルがお伝えします。

今、オウンドメディアに注目が集まっている最大の理由は、これまでの広告コミュニケーションでは限界が見えてきたからです。
スマートフォンやインターネットブラウザーには広告ブロック機能が搭載され、今後、サードパーティCookieが廃止されれば、広告効果が更に落ちる可能性もあります。プライバシー規制の潮流は世界的なものであり今後も厳しくなっていくでしょう。
既存のデジタル広告などをデジタルマーケティングの中心に置き続けることはリスクが高いと言わざるをえません。

ポストCookie時代には、広告に頼らす、企業が自ら見込み客のデータを集めマーケティングに積極活用する必要があります。そこで重要な役割をもつのがオウンドメディアなのです。

オウンドメディアは商品やサービスに興味をもってくれそうな人を絞り込み、ピンポイントで呼びこむことができます。オウンドメディアに適したSEO対策をおこなうことで企業の欲しいユーザー層に訪問してもらい、見込み顧客の買いたいという思いを喚起するように情報設計を行うことができるのです。

  • <オウンドメディアの優れた特徴>
  • ・検索からの流入増で、見込み顧客を増やすことができる
  • ・検索内容にマッチした記事が表示され、購入へ結びつきやすい。
  • ・製品にまつわる物語を伝えることで共感者を増やしファン化する
  • ・製品・サービス、事業内容・考えを社内外に伝えることができる
  • ・ユーザーへの情報発信や会員化など人の囲い込みが可能になる

より満足度とロイヤルティが高く、より高額の商品を購入し、コンテンツを拡散してくれる優良顧客に育てることが、オウンドメディアの役割といえます。

オウンドメディアとSNSの同時活用で期待できる効果として、速いスピードでの情報伝達が可能になります。
拡散力が優れているSNSを活用することで、リーチを増やし企業の認知度を高めることができます。さらに製品やサービスのリリース、期間限定キャンペーンなど即時性が必要な情報についても、タイムリーな情報提供ができるのです。

オウンドメディアは自社コンテンツのため、グーグルアナリティクスやサーチコンソールなどで細かな分析することが可能です。
・グーグルアナリティクスではサイト分析で訪問数・ページ閲覧・リピート率
・サーチコンソールでは検索キーワードを分析することで、ユーザーのニーズを探り、コンテンツ制作に反映させることが可能です。
これらの分析で、広告の出稿や記事を増やしたことが訪問客の増加にどう影響したのかを学ぶことができ、次の施策に生かせます。

見えていなかったファン化・顧客化・ロイヤルティ化を数字で「見える可」することで、訪問客から見込み顧客までを資産として考えることができるのです。

グーグルアナリティクス画面
Looker Studio画面

ペイドメディアは、費用をかけるほど集客が期待できますが、必ずしも費用をかけた広告が購入に直結するとは限りません。クリックひとつで類似商品と比較検討され、競合他社のサイトへ立ち去ってしまうこともあるかもしれません。

マス広告では困難な「ユーザーとの直接のコミュニケーション」をオウンドメディアで図ることでユーザーとの信頼関係を構築できるのです。一時的にちょっと立ち寄るだけのユーザーではなく、商品やサービスに愛情を抱き、根強いファンになってくれるユーザーとの信頼関係を育み深めることができる、それがオウンドメディアの凄さといえるでしょう。

今やトリプルメディアですら、古い考え方になりつつあると言われています。そして新しい基準として「PESO」という考え方があります。
この「PESO」モデルは、アーンドメディアを更に細分化したもの。「ペイド(Paid)」、「アーンド(Earned)」、「シェアド(Shared)」、「オウンド(Owned)」の4つ頭文字をとった言葉です。

SNSなどのソーシャルを「Shared Media=シェアドメディア」と呼びます。これはアーンドメディアをユーザーの口コミである「シェアドメディア」とPRなどによる「アーンドメディア」の2つに分けたものです。近年、このシェアドメディアの成長は著しく、多くの企業にも影響を与えています。
しかし、シェアドメディアは、ユーザー(消費者)が主体となって活用されているため、企業側が完全にコントロールすることは難しいものです。

PESOモデルを駆使すると、広報活動のパブリシティ先として従来のマスメディアやメディアに加えて、ブロガーやインフルエンサーなどの拡散力のあるユーザーが加わります。彼ら企業人ではないユーザーとどのように付き合っていくかが、PESOモデルで成果を出すためのポイントと言えるでしょう。

オウンドメディアをうまく取り入れる、つまりは併用利用することでどんな効果が生まれるのでしょうか。キーワードに、「ULSSAS(ウルサス)という言葉があることをご存じでしょうか。

ULSSASとは:
・ユーザー投稿コンテンツのUGC
・いいね!のLike
・SNSを使った検索のSearch1
・検索エンジンを使った検索のSearch2
・購買のAction
・拡散のSpread
の頭文字をとった造語です。

ユーザーが購入に向けて動きはじめた時、その購入に至るまでの動向を「ULSSAS(ウルサス)」と呼ばれるプロセスで巡ることができます。

はじまりは、投稿や広告配信です。
某メーカーの一眼レフカメラのデザインと機能性をあなたが大変気に入り、絶賛してSNSにコメント投稿したとしましょう。この投稿に、あるユーザーが「いいね!」を付け、同じ製品についてのコメントをSNS内で検索していきます。GoogleやYahooにおいてもリサーチをかけていきます。

もし彼らが購買すれば、製品の良さをシェアし拡散へと進んでいきます。彼らの行動に合わせてUGC(Uger Generation Contentsユーザー生成コンテンツ)もどんどん拡散していくのです。
このサイクルが生まれると、UGCがUGCを生み出し、そこに再びイイねが付き、購買に向かう新ユーザーが登場し、またUGCが発生する、という流れでULSSASがエンドレスに続いていきます。

ULSSASSが大きく循環し始めると、多大な広告宣伝費などを投下しなくても、大きな広告効果が自然発生するようになっていくのです。
必要なのは良質なフォロワーを抱えること、シェアされやすいアカウント基盤を構築することです。

オウンドメディアとの相性が良い主なSNSツールは誰もが知っている以下の4つです。

Instagram

ビジュアル(写真・動画)に適したInstagramですが、拡散性はさほど高くありません。投稿によるコミュニケーションを楽しむ特性があるため、リアルな人間関係の中で徐々に拡散される傾向にあります。

X(Twitter)

視覚的に訴求するInstagramとは対象的に、最大140文字の投稿やメッセージでコミュニケーションとるツールがX(Twitter)です。X(Twitter)の特徴はInstagramとは対象的であり、投稿の拡散力が高い点にあります。リツイート機能によって爆発的に拡散されるケースも少なくありません。

Facebook

Instagramの台頭により利用者数が減少しているといわれるFacebookですが、アカウント作成に細かな情報がいらないInstagramやTwitterに比べて、実名性であることが特徴で実生活に価値を置くマーケティングにおいては優れたツールです。

TikTok

Z世代の心をつかんだショートムービープラットフォーム『TikTok』は、音楽クリップの視聴だけでなく、短編動画クリップの撮影や編集、さらに動画クリップへの特殊効果の追加なども可能です。その爆発的な拡散力は他のSNSのようにインフルエンサーを介する拡散モデルではなく独自のAIアルゴリズムによってコントロールされています。

Instagramであれば「視覚的な訴求で若者のファンを増やす」、Twitterであれば「リツイートへ特典をつけて拡散させる」といったそれぞれの役割を明確化させることが重要です。

「継続的な効果測定」は、必要不可欠です。正確な効果測定に必要な指標が「KPI」です。細かな設定は企業によって異なりますが、必ず利益に直結するKPIの設定を行いたいものです。「月間投稿数〇〇件、フォロワー数〇〇人増、問い合わせ数◯◯件、購入◯◯件」といったKPIを正しく打ち立てることで、オウンドメディアとSNSを併用する本来の目的を見失うリスクを軽減できるでしょう。

オウンドメディアはリード獲得だけでなく、サービスや商品自体を知らない潜在層に向けての認知獲得にも役立ちます。たとえば自社商品の認知度が低い場合、サービス名や会社名で直接検索してくるユーザーの集客は見込めません。
しかし、ユーザーの求める情報を調べ、記事化し掲載するなど地道な努力を続けることでコアファンを獲得し認知度を上げて集客に結びつけた例もあります。

一例を挙げましょう。
「北欧、暮らしの道具店」は株式会社クラシコムのオウンドメディアです。ECサイト内に掲載されているコラムでは、スタッフの愛用品や着用レビューなどの商品にまつわるコンテンツだけでなく、料理レシピやエッセイなど日々の生活を豊かにする様々な内容を掲載しています。

ECサイトを運営し始めて間もないころからサイトのメディア化に注力してきた結果、コアなファンを多数獲得。メディア自体の指名検索数も多く、2011年からはほかのECモールへの出店を取りやめオウンドメディアのみでEC事業を展開しています。

優秀な人材を自社に呼びこむため、オウンドメディアを積極活用するケースもあります。社員へのインタビューや社内のチームのありかた、ジョブシェアリングの手法など、人と仕事にフォーカスしたコンテンツを発信することで、会社のカルチャーやビジョンに共感する人材を事前に絞り込めるのです。

求職者側からしても、これは魅力的です。「ホームページは格好いいが、社内がどんな感じなのか、まったくつかめない」といった不安や懸念の軽減につながるからです。入社後のミスマッチを防ぐことにもつながるでしょう。

一例を挙げましょう。
「OnLINE」は、LINE株式会社のオウンドメディアです。
「たくさんのWOWへとつながるように。」とテーマを設定し、社内のさまざまな挑戦や取り組みの記事をインタビューやレポート形式で配信しています。
社内のヒトやカルチャー情報を包み隠さず発信することによって、企業理念への共感者を増やし、採用につなげてきました。そのため、記事のカテゴリーは誰にでも分かりやすく「VISION」「CULTURE」「WORKS」のシンプルな3つの構成になっています。

ブランディングとは、「セキュリティを重視するならこの会社」「利便性ならあの会社」といったように、それぞれの強みをユーザーに分かってもらい、ユーザーが持っている「〇〇を重視したい」という評価軸とブランドを結びつけることを目指します。

コンテンツの内容や文脈を自分たちでコントロールできるオウンドメディアでは、「ユーザーにどのような印象を持ってもらいたいか」を意識して一貫したコンテンツを発信し続けてブランディングの成果を上げることが可能です。

一例を挙げましょう。
株式会社チャーム・ケア・コーポレーションは、介護付き有料老人ホームを運営している介護業界の大手企業です。
採用オウンドメディア「チャームPOINT」を運営しています。
レクリエーションやイベントなどの記事を公開し、介護スタッフ、管理職、人事部門など、幅広い層のスタッフが登場して現場のリアルな声を届けています。
介護業界のネガティブなイメージを払拭するために、リファラル採用を目的とした「スタッフ紹介制度」や、定年後も継続雇用が可能な「エルダー社員制度」など、日本ではまだ浸透していない福利厚生の制度も紹介しています。
就活中の新卒学生に100%広報し、 志望度アップと企業イメージの向上に成功しています。

これらの事例の様に目的別にターゲットと運営方針を決めて継続的に運営していくことで結果に結びつけていくことが可能です。

オウンドメディアを企業コミュニケーションの大黒柱に育てる 5つのポイント
  • 1.オウンドメディアの大きな特徴を学ぶ
  • 2.オウンドメディアの目標・目的を明確にする。
  • 3.SNSは拡散力を強化する
  • 4.オウンドメディアを巧みに用いて相乗効果を生み出す
  • 5.活用メディアに合わせた役割にする

オウンドメディアは長期戦の施策です。自社で立ち上げる際は、その目的と中長期のゴールを初めに設定し、制作チームでいつも共有しながら進めていきましょう。定期的に数値の分析を行って課題を抽出し、ユーザーがそれぞれのゴールを達成するための行動を起こしてくれているかも観察しましょう。

利益の裏にはリスクが存在することも忘れてはいけません。WebのオウンドメディアとSNSを併用する時は、広告あるいは宣伝を強調しすぎないこと。ユーザーは出会いと対話、つまりはコミュニケーションを重視しています。広告ばかりの投稿では商業主義と受け止められユーザーたちは離れていく可能性があります。
それらに注意すれば、オウンドメディアは、製品やサービスの購入に結び付きやすいプロモーションを効果的に打ち出すことができ、自社サービスや製品にまつわる様々な物語を伝えることで共感者を増やし、新たなファンを生む優れたメディアなのです。

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トガル株式会社 / コミュニケーションデザイナー
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トガル株式会社 / コミュニケーションデザイナー
クリエイティブとテクノロジーを組み合わせたコミュニケーションの全体設計、クリエイティブディレクション・データ分析までを手がける。
シンプルでエッジの効いたデザイン・コミュニケーションを得意とする

企画・構成・編集:小嶋/執筆:菅原

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