Z世代の視点を取り入れ、メディアの新たな繋がりを創出する。
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Z世代は自分らしさを表現できるブランドを選んでいる
ファッション、コスメ、インテリア…。いろいろなジャンルで好きなブランドってありますよね。私自身、自分の好きなブランドに今どんな商品があるのかをSNSなどで見るのは、とっても楽しい大好きな時間です!
そして企業にとっても、価格勝負になってしまいがちな「商品」単位より、「ブランド」の単位で選んでもらうことの方がメリットが多いもの。一回きりの購入で終わってしまうのではなく、ブランドごと好きになってもらって、消費者と長い関係を築いていきたいですよね。
では独自の価値観を持ち、トレンドの先端を行くZ世代は「ブランド」をどう捉えているのでしょうか?今回はZ世代である筆者が、Z世代特有の消費に対する価値観、そして自社のブランドをZ世代に訴求するためのコツを解説していきます!
01
Z世代の独自の価値観は、消費傾向にも反映される
他の世代とは異なる、独特の価値観を持つZ世代。その特徴は消費行動にも表れています。
ブランドについて考察する前に、ここではまず、Z世代の価値観に基づく消費の傾向を解説していきましょう。
Z世代の消費傾向1:流行・トレンドだけでなく、自分の“好き”が消費のモチベーションに
トレンドに敏感と言われるZ世代。話題になっているものを消費したい!というモチベーションを持っています。
といっても、いつの時代も若者がトレンドに敏感なのは変わらないかもしれませんね。そんな中でZ世代が他の世代と異なるのが「SNSの普及を背景にさまざまな情報源にいつでもアクセスできる」という点です。
インターネットやSNSが浸透する以前の世代では、テレビや雑誌などマスメディアを中心につくり上げた「流行」が消費の大きなモチベーションとなっていました。そのため昔の方が「○○ブーム」といった一大ブームが生まれやすく、好みが一極化する傾向がありました。逆に流行から外れているものはニッチな趣味として扱われる…ということで堂々とアピールしづらい空気も少なからずあったのではないかな?と思います。
しかしZ世代はマスメディアの他にもSNSなど豊富な情報源を持っています。そのため画一化された「流行」ではなく、自分の“好き”を自由に見つけられるのが特徴です。
しかもSNSを通じて、自分の“好き”を共有できる仲間を簡単に見つけられるのもポイント!自分の好みが他の人にも支持されているという安心感があることから、Z世代は流行にとらわれず、自分の“好き”の気持ちをモチベーションに消費行動をする傾向があります。
Z世代の消費傾向2:「消費=自己表現」!自分らしさを示すアイテムにこだわる
多様性を尊重する今の時代。何か選択をするときにも「みんなと同じが良い」という判断軸がゆらぎつつあり、「みんな」ではなく「自分」に合うかどうか、という独自の判断軸を求められるようになっています。
特にZ世代は持続可能な社会のつくり手を育むESD教育を受け、「#Me too運動」「BLM運動」といった個人の尊厳、多様性を叫ぶ社会運動を経験しながら育ってきました。「多様性が当たり前」を超えて、むしろ「個性や自分らしさは不可欠のもの」として求められている感じすらあるかもしれません。そんな中で、私たちZ世代は常に自分だけの個性を追い求めている気がします。
消費というのは、まさに自分の判断軸を持って商品を選択するという行為ですよね。つまり私たちZ世代にとって、消費は「自己表現の手段」であるともいえるわけです。
流行のものを買うとしても、単に「流行ってるから」という理由だけでなく、プラスアルファで「自分らしさ」がほしい。自分の所有アイテムは自分という人間の個性を象徴するものだからこそ、こだわりが詰まったもので揃えたい。そんなこだわりを持って消費行動を取っています。
Z世代の消費傾向3:コミュニティとのつながりと個性を同時にアピールする「界隈消費」
常に個性を追い求めるZ世代ですが、同時に「何かに属していたい」「仲間がいる安心感が欲しい」という思いも抱えています。
そんな一見矛盾するようにも見える思いを満たすのが、好みや趣味のつながりです。Z世代は、学校などの決められたコミュニティの中での関係よりも、好みや趣味のつながりを大切にする傾向があります。自分らしさを存分に発揮しながら、所属意識も満たせるのが、“好き”でつながるコミュニティなのです。
それに伴ってトレンドになっているのが「界隈消費」です。界隈消費とは、万人受けよりも、特定の界隈で熱烈な支持を受けるものに価値を見出すZ世代特有の消費傾向のこと。例えばファッションの界隈は「ノームコア系」「韓国系」「ストリート系」「モード系」「スナ系」「地雷系」「量産系」などが挙げられます。
「界隈消費」は、SNSの浸透で好みが多様化することで、マス的な流行から細分化されたコミュニティでの流行に消費のモチベーションがうつっているともいえます。「量産系」という王道の服装を示すコミュニティですら界隈の1つになっているのも、流行が細分化されているのを表していますよね。
そういう細分化された自分の好きな“界隈”の中の人気のインフルエンサーなどを参考にしながら消費行動を行っているのがZ世代ならではの特徴です。
Z世代の消費傾向4:豊富な選択肢の中から、自分に合うものを慎重に選ぶ
スマートフォンの普及で、いつでも簡単に情報にアクセスできる時代。モノも情報もあふれている今、Z世代にとっては日々魅力的なものに囲まれて、消費意欲をかき立てられている状況です。
でも購入するために必要な収入も選ぶ時間も限られているのが実情…。しかも「所有アイテム=自分の個性」である以上、ダサいものは持ちたくない。このような状況の中で、Z世代は失敗しないように消費するものを慎重に選んでいます。商品を買うときには、他の似たような商品をリサーチして検討を重ねて購入に至ります。
Z世代はタイパを重視するイメージがあるかもしれませんが、必要なところに時間をかけるために無駄を省いているといった方がよいでしょう。自己表現の手段である消費はZ世代にとって重要な価値を持つことであり、そこにはしっかりと時間をかけて慎重を期します。時間だけでなく、自分のこだわりに合うものならお金をかける傾向があるのも特徴です。
02
Z世代の消費傾向からみる“ブランド”の価値とは?
ここまでZ世代特有の消費傾向を見てきました。じゃあ結局Z世代にとってはブランドってどういう意味を持つものなのか?核心に入る前に、一度全世代に共通するブランドの特徴を考えてみましょう。
消費者にとってのブランドは、大きく2つの価値を持つものだと考えます。
1つは「個人の価値観やステータスをアピールできる」こと。ハイブランドなら「経済的な余裕」、世界観のある個性派ブランドなら「センス」。「このブランドが好き」ということで、その人の価値観やステータスを分かりやすく表明できるのがブランドの持つ価値の1つです。
そしてもう1つが「自分の好みがある程度担保されている商品群があること」。お買い物はワクワクするものではあるけれど、百貨店に行って全店舗巡っていたら疲れちゃいますよね。だから大抵みんな、自分の好きなブランドの店舗を中心に巡っていくと思います。そういう効率的な消費に一役買うのもブランドの魅力といえるでしょう。
この2つを踏まえた上で、Z世代ならではのブランドの価値についてみていきたいと思います!
ブランドのストーリーに共感し、自分の消費行動の“意味づけ”をする
ブランドには、その企業の一貫した想いやストーリー、世界観が詰まっています。Z世代にとってのブランドの価値はそこにあります。
なぜならブランドを選ぶことで、ストーリーへの「共感」という消費者の意思が介在することになるからです。
商品単位で選ぶ場合、そこに込められた想いやコンセプトよりも、機能や価格面が優先されますよね。でもブランドであれば「何でこれを買ったの?」という問いに対して、自分ならではの意味づけができるんです。
つまりZ世代にとって「このブランドが好き」ということは、ブランドのストーリーに共感する“自分らしさ”を表明することになります。Z世代はハイブランドにこだわらない傾向があると言われますが、それは「単に高級なだけなら“自分らしさ”と関係がないから」という理由が大きいのではないかなと思います。
一方で、自分の「好き」や自身の「個性」を確立するためには、お金をかけてでもブランドにこだわって自分に投資する姿勢があるのもZ世代。実際にテテマーチ株式会社が2023年に行った「Z世代の消費に対する意識調査」の調査結果でも、「多少価格が高くても、好きな企業やブランドを選びたい」というZ世代の回答の割合が他の世代に比べて高くなっています。
「高級なハイブランドでお金があることをアピール!」ではなく、「自分らしさをこだわって表現するためなら、ブランドにもお金をかける!」ということですね。
好きなブランドを通じてアイデンティティを表明し、コミュニティとの接点をつくる
界隈消費の例からもわかるように、「自分の個性」と「コミュニティへの所属意識」を両方満たす消費を好む傾向があるZ世代。そんなZ世代にとって、ブランドは界隈を象徴する存在であるといえます。
「○○のブランドが好き」と表明することは、「自分はこの界隈に所属している」という自身のアイデンティティを示すことも意味します。同時に「○○のブランドが好き」を名刺代わりに、仲間とのコミュニティの接点をつくっていくことも可能となるのです。
ブランドは「効率的にこだわりを満たす」役割も果たす
「所有アイテム=自分の個性」という感覚を持つZ世代にとって、たとえこだわりのないジャンルであってもダサいアイテムは持ちたくない!という思いが強くあります。とはいえ、こだわりのないジャンルならなるべく選ぶ労力を減らしたいのも本音。だったら企業の想いが詰まったブランドから商品を選ぼう!というのが、Z世代ならではの効率的な消費です。
それを象徴するのが、近年Z世代からの支持を得るD2Cブランドです。制作者の想いやこだわりをダイレクトに受け取ることができるのがD2Cブランドの魅力。実はZ世代は、自分のこだわりのないジャンルこそD2Cブランドを選んでおこうという傾向があるんです。
特にこだわりがないので、好きなブランドもない。でも自分の所有するアイテムにこだわりのないものを紛れ込ませたくない。そんなときにD2Cブランドを選べば、選ぶ労力を割くことなく消費の意味づけを行うことができるのです。自分のこだわりがないのであれば、制作者のこだわりで代用する。そんな「効率的なこだわり消費」を行っているのもZ世代ならではですね。
03
Z世代に選ばれる上で最も大切にしたい「意義」「ストーリー」
企業にとって自社のブランドを好きになってもらうことは、「比較検討をすっ飛ばした最短ルートでの購入」「消費者との関係構築」というメリットがあります。そしてこれまでの内容からもわかる通り、消費にこだわりを持つZ世代にとっても、ブランドに込められた想いやストーリーはとても意味のあるものだといえます。
世の中にはブランドがあふれ、ブランドを紹介するコンテンツも日々増加しています。数多あるブランドの中からZ世代に選ばれるブランドとなるためにはどういう発信が求められているのか?ここではZ世代に刺さる発信のコツを事例とともに紹介していきたいと思います!
ブランドの意義・ストーリーをわかりやすく伝える
消費の意味付けを大切にするZ世代。ブランドが持つ社会的意義やストーリーに共感してもらえることが「Z世代に刺さるブランド」となるための第一歩となります。
例えばアウトドアブランドで有名な「パタゴニア」は、環境保護など社会的意義のある活動にも力を入れている企業として有名です。アウトドアはファッションでいう「界隈」の1つのジャンルですが、そこに社会的意義という要素が1つ乗ることで、Z世代にとってブランドを選ぶ上での大きな要素となります。
パタゴニアはその企業としての信念をホームぺージやInstagramで全面に押し出しているのもポイント!
いくら自分とマッチしているコンセプトを持っていても、そのメッセージを自分ごと化してもらえるきっかけがないとスルーされてしまう可能性が高いでしょう。
そのため、ブランドが大切にしている想い・ストーリーをわかりやすい形で投稿などにして発信することが、Z世代に訴求していくためにとても大切となっています。
商品単体ではなく、ライフスタイルをイメージさせる
消費を通じて自己表現をするZ世代にとって、所有アイテムは自身のライフスタイルと深く結びつくものです。そのため、「このブランド=○○な生活」という印象を抱いてもらえるようなコンテンツを発信すること、よりZ世代に刺さるものとなるでしょう。
「ブランドの世界観=憧れ」と「実際に生活に馴染む=リアリティ」を両立できているようなコンテンツが望ましいです。見ているだけでも楽しいオシャレ、でもわざとらしくない、そんなコンテンツが好まれる傾向にあります。
企業側の発信ではなく、一般ユーザーのUGCを用いた発信もリアルさを出す上で有効です。Z世代は他人の発信を擬似体験として捉えている面があるため、一般ユーザーがブランドをタグ付けして投稿したコンテンツを見つけ、それをストーリーに載せたり再投稿したりするなど、UGCをうまく活用しましょう。
トレンドにも敏感なZ世代は、SNSを中心に話題になっているものにも惹かれます。UGCはその点でも重要。どんどんUGCをつくってもらえるような仕掛けをしていくことは、話題性・リアリティの両面からZ世代への訴求に効果的です!
カスタマイズ・パーソナライズする余地を与える
Z世代は「何かに属していたい」「仲間がいるという繋がりによる安心感が欲しい」という思いがありながら、一方では「他の人とは違う“自分だけ”という個性も欲しい」という思いを抱えています。
そのためZ世代は「界隈」と「個性」という二段階の目線でブランドを評価しているな、という感覚があります。
界隈消費で仲間とのつながりを得ていても、それだけじゃ物足りない。何か自分ならではの個性を示せる消費がしたい!そんなわがままな願いを持つZ世代は、ブランドの中でもカスタム・パーソナライズできる商品に魅力を感じる傾向があります。
例えば韓国の人気店「object」は、パーツを組み合わせてオリジナルのワッペンがつくれることでZ世代に人気のブランドです。好きなアイドルのメンカラ(メンバーカラー)でつくるなど、推し活グッズを手作りできるのも魅力。
またD2Cのヘアケアブランド「MEDULLA」は自分の髪質に合う商品をカスタマイズして購入できます。この、自分ならではの商品を購入できる“パーソナライズ”のコンセプトがZ世代にマッチして支持を得ています。
Z世代に受け入れられている界隈を意識した訴求を行うことも大切ですが、その中でカスタマイズ・パーソナライズできる商品展開があると、よりZ世代にとって魅力的にうつるはずです。同様に、ブランドのこだわりを全面に押し出しつつも、そこにカスタマイズ・パーソナライズというZ世代の“自分らしさ”が入り込む余地があるとさらにZ世代に刺さるブランドとなるのではないでしょうか。
- ・Z世代にとって、消費は自分の個性を表現する大切な手段
- ・多様な選択肢の中から「自分らしい」ものを選んで投資する
- ・ブランドの背景にあるストーリー、ブランドの社会的意義が重要
- ・「界隈」を意識しつつ、カスタマイズ・パーソナライズで“個性”の余地を残す
- ・ブランドの意義や商品を手に入れた先の生活を伝えることが大切
消費活動を「自分自身の個性の表現」と捉えるZ世代。
そんなZ世代を惹きつけるブランドになるには「このブランドを好きでいることが自分のアイデンティティになる」と思われることが重要です。ブランドの持つこだわり、話題性、そして消費者の個性を発揮できる“パーソナライズ”の余白を意識して、Z世代に刺さる発信をしていきましょう!
名古屋で「Z世代向けSNSマーケティング」するならトガル株式会社へ
Z世代の視点を取り入れ、メディアの新たな繋がりを創出する。
企画・構成・編集:みーちゃん/執筆:西村