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センスの素は“普通”を知ること

2023.09.29
SHEARE

「あの人はセンスがいい」「デザインセンスが光る作品」など、普段の会話でも語られる“センス”。優れた企画や質の高いクリエイティブを生み出す上でも不可欠ですが、数値化できず個人の感覚が試されがちな、一見、曖昧なものです。その正体とは、どんなものなのでしょう。また、センスを自ら上げていくことはできるのでしょうか。

例えば、何かの企画に取り組むとき。いくつものアイデアの中からベストな案を絞り込んでいく過程で必要なのが、判断基準です。自分の案は、果たしてセンスがいいのか、悪いのか。それを見極め選択する力を発揮しなければなりません。

カギは“普通”を知ること。

世の中に浸透しているアイデアや機能を知り、それを基準に企画や制作のブラッシュアップをしていくことが、センスのいい仕事につながるはずです。そこで、“普通”を知ってセンスを磨く手法をアートディレクターの山本と一緒に探っていきましょう。
この記事は、名古屋でホームページ制作を行っているトガルがお伝えします。

ある商品のブランディングに取り組むとします。まずは、そのカテゴリの、ど真ん中を知ることが重要です。ロングセラーやオーソドックスな商品など “定番”を見つけましょう。
価格、パッケージ、取り扱い店舗、売り場での配置など、さまざまな角度からブランドや商品をひもといていくと、世の中でのポジションが見えてきます。そして絞り込んだ“定番”を基準とし、より高品質なもの、より斬新なものを考える。それが、センス磨きの第一歩です。

さらに“トレンド”と比較することも有効です。流行が定番になっていくのか一過性で終わるのかなど、定番との共通点や差異を検証して分析を深めていくと、“普通知識”が洗練されていきます。それがセンスの良さにつながっていくはずです。

“普通知識”を蓄え洗練させていくテクニックとして、まずは情報源の見極めが重要。ネットの情報は古いものもあるし、レビューは個人の意見に偏りがち。テレビ、雑誌、ネット、SNS、店舗など、さまざまな接点から情報を集め、俯瞰することが不可欠です。

コツはリアルな現場に足を運び、観察すること。例えば、若い女性をターゲットにした新しいカフェの店舗デザインに取り組む場合。気になるカフェや話題のお店に出かけてみましょう。店内でターゲットに近い人を見つけ、その人は、なぜこのカフェに来たのかを考えてみます。歩き疲れたからか、喉が乾いたのか、以前から来たかった店なのか…。

また、服装、持ち物、オーダーしたメニュー、店内での過ごし方などを観察していると、その人のキャラクターや行動がなんとなく見えてくると思います。ペルソナを想定し、頭の中でジャーニーマップを作っていく感覚です。
次に、店全体を見渡してみましょう。想定したターゲットと同じような人が多いのか、その人は特殊な存在なのか。それが見えてくると、その店はトレンドに乗ったカフェなのか、定番に寄せたカフェなのか、もしくは二つをミックスしたカフェなのかなどが見えてきます。

行動と体感が、集めた情報に説得力を持たせるのです。そして、情報を再度検証・精査。もう一度現場に出向いて再確認すると、精度が上がっていきます。

普通知識を高めるために不可欠な情報力と分析力。これらを充実させるためのセンス磨きルーティンを日常に取り入れてみましょう。

まずは情報力。多様なジャンルの本や雑誌に目を通し、幅広い分野の情報をストックします。もちろんネットからも情報収集はできますが、僕は書店に足を運び、経済、ファッション、エンタメ、ホビーなどあらゆるジャンルの雑誌をチェックしています。
表紙の見出しコピーだけ見ても、幅広い業界の最新情報をインプットできますから。また、それらをコンスタントに更新することで、各分野のトレンドの変遷をたどれます。

“人”も重要な情報源。異業種交流会などに積極的に参加するのも有効です。そこには、普段の行動範囲や人間関係では得られない情報があふれています。さまざまな業界や職種の人と話して自分の考え方との違いを知ると、より俯瞰的な視点が身に付くと思います。

こうして無意識に集めた情報は、ほかの接点から入ってくる情報と結びつけることができます。例えば、クライアントから新商品のオリエンを受けた時に脳内のストックから競合商品の情報が出てきたり、打ち合わせ時の何気ない会話で発信した情報が引き金になってアイデアが好転したり。
蓄えた知識を最適なタイミングで引き出すためにも、情報の幅と量はできるだけ広く多い方がいいと思います。

普通知識を高めるために必要なもうひとつの要素、分析力。その向上に有効なのが、「なぜ?」の視点です。僕の趣味はキャンプですが、自分が楽しむためにいろいろなことを調べます。アウトドアブランドやギアのトレンド、価格、キャンプ場やグランピング施設…。日頃からそれらの情報に触れて深掘りすることが、自分なりの市場分析につながっています。

「なぜ?」という視点が生きているのだと思います。「なぜ、このブランドが人気なんだろう?」「なぜ、最近この商品の価格が下がってきたんだろう?」そんな風に物事と接すると、集まる情報も変わってくるし、見えてくることがたくさんあります。どんなことにも常に疑問を持って接する。これもセンス磨きルーティンのひとつです。

のめり込んだら要注意!進路を誤らせる「意識のすり替え」

集めた情報を取捨選択し、それを基準により良いアウトプットにつなげる。その過程で陥りがちなのが“意識のすり替え”です。情報収集・分析に集中すればするほど視野が狭くなります。

求めている“普通”の基準に、いつの間にか自分の感覚や意見が入り込んで、自分の考え=世の中の普通だという錯覚に陥ってしまうのです。これは、最終的に企画やデザインの目的まで変えてしまうこともある危険な現象です。

ブラッシュアップのポイントは「問いかけ」繰り返して普通基準の精度を上げよう

「自分はこう思うが、ほかの人はどうなのか?」「多くの人が支持しているが、本当にこれが世の中の普通なのか?」“普通”を探る上で少しでも違和感を覚えたら、問いかけ作業をおこないましょう。

問いかける先は、客観的事実です。店舗などのリアルな現場、データや事例などのエビデンス。そうした情報に立ち返ると、自分が導き出した方向性を俯瞰してジャッジできます。また、信頼できる人から意見をもらうのも有効です。同業者のほか他業種のビジネスパーソンなど、客観的でフラットな視点を持つ人の見解は、正しい判断の助けになると思います。

情報収集→分析→事実の再確認→方向性の判断・選択
この繰り返しによって、普通基準の精度は上がっていくはずです。

センスのもと “普通”をつかむ5つのポイント
  • ・定番とトレンドを比較する
  • ・行動と体感で情報の精度を高める
  • ・広く多く情報を集めストックしておく
  • ・なにごとにも「なぜ?」の視点を持って接する
  • ・判断基準は自分ではなく客観的事実

センスとは個人の感性や先天的な才能だと思われがちですが、実は誰もが身に付けられるものです。情報を集め、知識として蓄えて“普通”の基準を作り、それをもとに取捨選択する力を備える。その基礎トレーニングの積み重ねが、“いいセンス”をつくっていくのです。

ディレクターやデザイナーだけでなく、営業、プランナー、コピーライター、企業の担当者など、案件に携わる全ての人が基準を持っていれば、感覚というあやふやなものでなく、確固たる根拠をもとに正しい選択ができるはず。良い企画、良いクリエイティブを正しくつなげるセンスを、普通を知ることから磨いていきましょう。

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しょうちゃん
アートディレクター
しょうちゃん
アートディレクター
ユーザーからクライアント、私自身含めて「ワクワク」できる表現を心がけたい。気持ちのこもったクリエイティブは、人の心を揺さぶる。

企画・構成・編集:しょうちゃん/執筆:稲葉

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