話し手も聞き手も。一人ひとりの思いを大切に汲み取って、実直にクリエイティブに向き合っていきたい。
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消費者にとっての価値を届ける「編集力」- 作り手と受け手をつなぐ
「編集」と聞いて、どんなことをイメージしますか? まず思い浮かべるのは、新聞や雑誌の編集部、小説や漫画の編集者などかもしれません。
編集者の役割は、情報やコンテンツの“作り手”と“受け手”の間に立ち、その価値を届けること。作り手の思いや情報を整理し、受け手にとって魅力的な形に再構築して発信する、いわば“橋渡し役”です。
この「編集」という考え方は、出版やメディアの世界だけのものではありません。 どんなに優れた商品でも、ただ店頭に並べているだけでは売れないように、受け手にとっての価値を引き出し、伝える工夫が必要です。
広告制作やプロモーションの設計、ブランディングなど、クリエイティブの現場でも「編集力」が求められます。今回は、その手法と心得について、広告クリエイティブやSNS運用において編集を担当する、竹田がお話しします。
この記事は、名古屋でコミュニケーションデザインを行っているトガルがお伝えします。
01
編集の必要性:情報整理と再構築
消費者の行動を促す動線づくり
例えばウェブデザインひとつとっても、緻密な計算の上に成り立っています。全体の構成、コンテンツ企画、アテンションを引く視線誘導デザイン、コピーを読ませる工夫など、さまざまな仕掛けが施されているものです。そこには、情報を整理し、受け手にとって魅力あるものに再構築して発信する「編集力」が機能しています。

ここで、アパレル店に置き換えてみましょう。私は前職で、アパレル店長をしていました。開発者のこだわりが詰まった商品。一着の洋服にも、ブランドコンセプトやデザイナーの思いが凝縮されています。ただ、どんなに崇高な思いも、素晴らしい商品も、そこにあるだけでは売れません。どのタイミングで、売り場のどこにディスプレイするのか。どのような戦略で打ち出し、売っていくのか。つまり売り場の編集力が活きて初めて、消費者の目に留まり、心に届き、購買意欲を促すのです。
CASE)アパレル店での売り場の編集力
・ショーウィンドウや店内のマネキンに着せる「打ち出し商品」を決める
・全体構成(ゾーニング)を決め、商品配置を決める
・入店からの動線や、目的・興味に沿って商品が目につく流れを作る
・顧客が手に取りたくなるディスプレイを施す
・「鏡で当てる」「試着してみる」など次の行動を促す工夫

消費者目線で「欲しい」と思える文脈をつくる
もちろん、セオリー通りに売り場づくりをすれば必ず売れるわけではありません。消費者はいつも、そのときの自分のニーズやウォンツに忠実です。例えば、最新トレンドの春物アイテムを前面に押し出してアピールしても、急な寒波が来たら売れません。そのような外的条件はもとより、日頃のリサーチや経験則から、消費者の反応を敏感に察知し、現場の“リアリティ”に合致する文脈にすることが重要です。
<消費者文脈のつくり方:リサーチのポイント>
・ターゲット層の特性・興味
・ターゲット層の行動パターン
・社会全体の消費傾向
・トレンド、季節性
・現場の肌感 など
02
編集の役割:価値を翻訳する
価値を見出し効果的に伝える表現
メディア制作や広告クリエイティブにおいて、取材先や広告主の思い、商品情報や打ち出したい内容を詳しくヒアリングします。しかし、それをそのまま発信しても、受け手にとって必ずしも魅力的な情報として伝わるとは限りません。編集の役割は、価値の翻訳にあります。作り手が伝えたいことを精査し、受け手にとっての価値を見出し、興味や関心を引く内容・見え方に変換する。編集者には、そんな「翻訳力」が問われると思っています。

受け手目線の企画・構成
例えば、自社商品のプロモーションの方向性を「スタイリッシュさを前面に打ち出す」ことに決めたとします。しかしそれは、あくまで作り手の目線。一旦、フラットに受け手=消費者目線で商品について考えてみましょう。ターゲットの特性や志向を深掘りしていくと、デザインより機能や素材を重視する傾向が見えてきました。それなら、開発のこだわりを訴求する方が効果的だといえそうです。ここでのポイントは、作り手が伝えたい内容と、ターゲット(=受け手)にとっての価値をかけ合わせた“最適解”を考えること。
方向性が決まれば、何を打ち出すべきか(ex業界初の新機能、従来にない素材)、どう見せていくか(ex 関係者のインタビューによる開発ストーリー)を検討し、全体の構成に落とし込みます。

03
編集の鉄則:客観的視点と多視点思考
常に第三者の立場でいる
冒頭でお伝えしたように、編集とは、情報と読者、商品と消費者など、作り手と受け手の“橋渡し”です。双方の思いやニーズを理解した上で、間に立たなければいけません。その鉄則は、常に第三者の立場でいること。客観的視点を持ち、一歩引いて全体を見ることが、より良いジャッジにつながります。
視点を切り替えて検証する
客観的視点を軸にしつつ、作り手と受け手、さらには初めてその情報に触れる人など、複数の視点を行き来しながら表現を検証することが重要です。「この表現は消費者に伝わるか」「作り手の思いや努力を軽視していないか」「初見の人にも理解できるか」など、視点を切り替えて異なる立場で物事を捉え直してみる。こうした多視点思考も編集力向上の重要な要素です。
編集力アップのための日常ルーティン
客観的視点と多視点思考を養うため、トガルのクリエイターが日頃から意識していることを、ここでご紹介します。ちょっとした心がけも積み重なると、確かな土台になっているのを実感しています。
<編集力アップのための日常ルーティン>
・トレンドや経済ニュースを常にチェック
→ 消費行動や企業・業界動向を把握
・交流の場で情報収集
→ さまざまな世代の価値観に触れる
・統計アンケートやSNS上の議論をチェック
→ マイノリティーの意見も意識的に拾う
・現場を見る
→ 実際の売り場・街・イベントなどで利用者の行動に触れ、当事者感覚を掴む
・先入観を持たない
→ 自分とは異なる意見の中に新しいヒントを見つける
どんな崇高な思いも、有益な情報も、優れた商品も、届けたい人に届かなくては価値になりません。受け手にとっての価値を見つけ、いかに効果的に届けるか。全体設計からクリエイティブのアウトプットまで緻密にプランニングできる力が、人と価値を結びつけるのです。
- 情報を整理し再構築する
- 受け手にとっての価値を翻訳する
- 常に第三者の立場でいる
- 多視点思考で検証する
- 日頃から意識して視野を広げる
名古屋で「クリエイティブによる課題解決」ならトガル株式会社へ
話し手も聞き手も。一人ひとりの思いを大切に汲み取って、実直にクリエイティブに向き合っていきたい。
企画・構成・編集:たけ/執筆:稲葉



