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インバウンド集客のためのInstagram運用のコツ

2025.11.28
SHEARE

海外旅行をする際、旅先の様子や観光地の情報などの事前リサーチはつきものです。近年ではガイドブックや雑誌などに加えて、SNSで情報収集する人が増えています。

私自身、昨年インドネシアのバリ島を訪れた際、Instagramで調べて見つけた観光先で忘れられない体験をしました。旅先の知識が少なかった私は、Instagramで『バリ 海』と検索。そこで出てきた投稿の中から、同じ日本人が投稿していた大自然の写真に魅了され、投稿にタグ付けされたツアー会社に申し込みました。そんなきっかけがあり出会うことができた「マングローブの森のサップ散策」は、再びバリ島を訪れることがあれば必ずまた行きたいと思えるほどの特別な思い出となっています。

私のこの経験には、 “インバウンド集客をしたいSNSの使い方のヒント”が隠れていると思います。有名な観光地でなくても外国人観光客に「行ってみたい」「体験したい」と思ってもらえるような、インバウンド集客につながるInstagram運用のコツについて解説していきます。

今すでに運用している企業アカウントがある場合、そこにAI翻訳等で英語のキャプションを加えるだけでもインバウンド集客につながると考える人もいるかもしれません。しかしせっかく世界中に利用者のいるInstagramを利用するのだから、効果を最大化していきたいですよね。ここではより戦略的に運用していくための、“投稿前の準備”について3つのポイントを説明します。

Instagramには「クリエイターアカウント」と「ビジネスアカウント」があり、無料で切り替え可能です。「ビジネスアカウント」にすることでさまざまな機能が拡大されますが、その中でも特に「ビジネスプロフィール」は集客面で大きなメリットがあります。

■ビジネスプロフィールでプロフィール欄に追加できる主な項目

・電話番号や問い合わせ先などのビジネス情報
・予約フォーム
・業種カテゴリの表示

ビジネスプロフィールにすることでプロフィール欄に店舗情報が集客され、さらに予約までの導線をInstagram内で完結させることができます。インバウンド集客にさらに特化するのであれば、予約フォームの多言語化なども有効です。

ビジネスアカウントにはその他にもインサイト機能(後述)、広告配信といったメリットもあります。インバウンド集客を考える上で、まずは必ずビジネスアカウントに切り替えておくようにしましょう。

インバウンドに限らず、Instagramを運用する上でターゲット設定は欠かせません。もちろんインバウンド集客を考える際にも「どの国の」「どんな旅行者に」「どんな目的で」訪れてほしいのかというターゲットを明確に定めておくことが重要です。

このときに意識しておきたいのが、「リアル」(実際に足を運んでくれている外国人観光客)と「Instagram」の二軸で考えるということ。リアルで集客の多い国の人はニーズが顕在化している層です。一方で実際に店舗に足を運んでくれている人は少なくても、Instagram上での反応が良い国は潜在的な顧客層といえる可能性もあります。

ビジネスアカウントで利用できるインサイト機能では、国内利用者だけではなく国外からのフォロー、閲覧情報を把握可能です。フォロワー・閲覧者の多い国を把握した上でリアルの状況と照らし合わせ、潜在的なニーズも踏まえた上でターゲット設定をしましょう。

もちろんただ国を設定するだけでなく、年代や性別といった属性、旅行目的も合わせて把握しておくことが重要です。リアルで訪問のある外国人観光客の傾向や、Instagramのフォロワーの反応を踏まえてペルソナ設定をすることが重要です。

ターゲットを設定したら、そこに刺さる投稿内容を考えていく必要があります。国によって日本への旅行で重視するポイントが分かれることから、自社のターゲットとなる国の特性を踏まえて発信すべき内容を検討していきましょう。

では外国人観光客は、日本観光にどういったことを期待しているのでしょうか。以下に国や地域ごとの傾向の一例を示します。もちろん誰にでも当てはまるものではありませんが、国民性を踏まえた特徴として意識しておくと良いでしょう。

アジア圏:日本の食体験や写真映えする投稿に惹かれやすく、コメントを通してコミュニケーションを活発に行う傾向がある。ただし中国では国外のSNSに規制があるためInstagramの利用率が低いことに注意が必要。

欧米:ストーリー性や文化的背景を重要視し、伝統文化や体験に興味を持ちやすい傾向がある。

中東:日本の清潔性や安全性に安心感を覚え、ハラール対応など宗教配慮を期待している傾向がある。

写真や動画など言語情報がなくても伝えられるInstagramは、インバウンド集客との親和性の高いツールといえます。とはいえただ写真や動画を投稿するだけで外国人観光客が集まるわけではありません。

ここでは「見つける」「理解する」「好きになる」のステップに分けて、外国人観光客の視点に立って意識すべき4つのポイントを紹介します。

ハッシュタグは国内外問わず、自社アカウントへのリーチを増やす重要な役割を持っています。ハッシュタグは一般的に大きく「ビッグキーワード」「ミドルキーワード」「スモールキーワード」の3つに分類され、それぞれ異なる特徴をもっています。最大30個つけられる中で、検索ボリュームやターゲットを見ながらバランスよく取り入れていくのがおすすめです。

ビッグキーワード:一般的に使用されるキーワードで、露出機会は多いものの競合も多い。

ミドルキーワード:商材やカテゴリなど、投稿ボリュームが中程度のキーワード。ユーザーに投稿分類を示す役割も果たす。

スモールキーワード:投稿が少なく、ニッチな需要に対応するキーワード。ブランド名や商品名などの具体的な固有名詞、あるいはオリジナルのハッシュタグなどがあげられる。

ハッシュタグの基本的な考え方はインバウンド集客においても同じです。例えば旅行に共通して付けられるビッグキーワードは「#JapanTravel」「#NagoyaTrip」「#JapaneseFood」など幅広いテーマに該当するもの。しかしこれだけでは投稿数が多すぎてリーチを増やすことは難しいので、「#Sashimi」「#KawaiiGoods」などのミドルキーワードでジャンルを絞り、ユーザーが探している投稿に近い内容を提供できるように工夫をします。一定の外国人観光客のファンがついているのであれば、スモールキーワードとして企業オリジナルの英語ハッシュタグをつくり、さらなるファンの増加につなげていくことも考えられます。

そしてインバウンド集客においては、ハッシュタグの多言語化も重要なポイント。英語を基本としつつ、最もアプローチしたいターゲット言語も併記することでその国のユーザーが投稿を見つけやすくなります。

Instagramで旅先を検索する際には、ハッシュタグの他に地図検索も主流です。地図検索とは、位置情報がついた投稿を検索する機能のこと。「Sakae,Nagoya」など特定のスポットを入力することで、その周辺で位置情報が登録された店舗を検索することができます。

企業のアカウントで位置情報を設定する(ビジネスアカウントのみで有効)ことにより、その 周辺のスポットを検索したユーザーに対して公式アカウントを表示させることができます。マップで視覚的に店舗を見つけられるため、言語の壁がある外国人観光客を効率的に集客する際に非常に有用です。

さらに地図検索では公式アカウントだけでなく、ユーザーが投稿したコンテンツも表示されます。私自身も経験したように、昨今の海外旅行の事前リサーチは公式情報だけでなくSNSで一般ユーザーが投稿した情報を参考にするのが一般的です。国内外のユーザーに位置情報をつけて投稿してもらうような工夫をすれば、地図検索からリーチしたユーザーにさまざまな投稿を見てもらうことができるため、インバウンド集客の新たなチャネルとなることが期待できます。

■位置情報登録方法

「プロフィールを編集」→「連絡先オプション」→「ビジネスの住所」の順に操作し、アカウントに店舗やオフィスの住所を紐づける

※ ビジネスアカウントへの切り替えが必要
※ Instagram上にビジネス位置情報が出てこない場合、正確な位置情報が登録されたFacebookページとの連携が必須

外国人観光客の視点に立って考えると、いくら写真や動画が魅力的でも、文字による情報が得られないと安心して訪れることができないでしょう。場所や体験に対する理解を深めてもらう上で、投稿の多言語化は重要なポイントとなります。

インバウンド集客がメインとなる場合は外国人向けアカウント自体を別でつくることもありますが、運用や管理面を考えると日本語をベースとしたアカウントの中で多言語化するのが効果的でしょう。「キャプションに日本語と英語、もしくはターゲットとなる国の言語を併記する」「リールにAIの翻訳字幕をつける」など、投稿内容を理解しやすくする工夫をしましょう。キャプションを多言語化することでInstagram内だけでなくGoogle検索など別チャネルからのリーチも期待できるのもポイントです。

ただし必ずしもすべてを多言語化する必要はありません。おすすめは、「For Foreigners」という英語の投稿を一つピン留めしておくこと。施設や商品紹介などのアカウントの説明と、外国人を歓迎しているという文言を入れておくことで、外国人観光客の理解を進めることができると同時に“インバウンドフレンドリー”な雰囲気を伝えることができ、訪問意欲を高めるきっかけになります。

また毎回ではなく数回に一度、外国人向けの投稿を行うのも良いでしょう。フィードのサムネイルでは1列3つの投稿が表示されるため、5回日本人向け・1回外国人向けとするとプロフィール欄で外国人向け投稿が見つけやすくなります。

Instagramの投稿をインバウンド集客につなげるためには、ただ投稿内容を理解してもらうだけでなく、魅力を感じて好きになってもらう必要があります。Instagram運用の上で、ユーザーの「好き」をはかる指標として重要なのが「保存」です。保存した投稿は後から見返せるために、実際に来日した際に店舗を訪れる可能性が高まります。それに加えて、保存率の高い投稿はおすすめ欄にあがりやすくなり、他の外国人ユーザーへの波及効果も期待できるのがポイントです。

外国人観光客が保存したくなる投稿のポイントは大きく「投稿クオリティ」と「情報の充実」の2つ。まず「投稿クオリティ」に関しては、写真・動画の“視覚的なわかりやすさ”というメリットを最大化できるよう、高画質や画角・編集にこだわった魅力的なコンテンツをつくり上げることが前提となります。その上で、「日本ならでは」「この場所ならでは」の体験の魅力は何なのか、さらにターゲットとなる国に訴求できる要素は何かを引き出し、コンテンツに盛り込んでいくことが重要です。

「情報の充実」に関しては、日本への訪問を考える外国人のユーザーにとって有意義な情報を得られるような内容とすることが求められます。前述した「For Foreigners」という英語のピン留め投稿に商品や施設紹介の説明を入れ、さらに来店に必要な情報(場所、営業時間など)をまとめるなど、1投稿の情報密度を高めることで保存率を高めることができます。

こうした施策の効果は、Instagramのインサイトで効果測定することができます。インサイトをこまめに確認して、外国人のリーチや保存、シェアなどの状況をみながら改善のサイクルを回していきましょう。

UGCとはUser Generated Content(ユーザー生成コンテンツ)の略で、一般ユーザーが自ら作成・発信するコンテンツのことです。SNSへの投稿やブログ記事、商品レビューや口コミなどは、企業広告よりも信頼性が高い情報として注目されています。

特に海外旅行前のリサーチでは、同じ国の人がどういう投稿をしているかは非常に貴重な情報です。インバウンド集客のために、外国人によるUGCの最大化を目指すための工夫の“3つのポイント”を紹介します。

Instagram運用において不可欠なのは、「ユーザーは情報を受け取る側である同時に『情報を発信する側』でもある」という視点です。企業が発信を行う際にも、企業視点で魅力的だと思う内容だけでなく、「どのような体験を発信したくなるか」というユーザー視点に立ったコンテンツを考えることが重要です。つまり企業側が、ユーザーが真似して投稿したくなるようなお手本投稿をすることがUGCを最大化するポイントとなります。

写真・動画映えを狙って豪快に盛り付けた寿司やラーメンなどの日本食、または「Welcome to Nagoya」などの、旅の思い出に残したくなるような撮影スポットなどは、流行り廃りなく、国を問わず魅力的に感じてもらいやすいコンテンツです。

こういった基本的な工夫に加えて大切なのが「日本人にとって当たり前の光景も、外国人にとっては特別」という視点です。

例えば手を合わせて「いただきます」「ごちそうさまでした」という食事の挨拶をする習慣は、外国人にとって日本らしさを感じる瞬間です。他にも、日本人のまじめな性格を象徴するような「店の前にきれいに整列して並ぶ」光景、ラーメン屋さんでの元気な「いらっしゃいませ!」の挨拶など、日本人にとっての日常が外国人観光客にとって珍しく魅力的にうつる場合があります。

映えやステレオタイプな日本らしさにとらわれず、「日本ならでは」の瞬間を切り取る視点をもってコンテンツを考えましょう。

漠然と「外国人観光客が発信したくなるコンテンツ」といっても、国によってSNSの発信状況はさまざまです。例えば日本ではInstagramの利用率は高いものの、その中で投稿を行っているユーザーの割合は60%程度と、実はそこまで多くありません。

ターゲットとなる国のInstagramの発信状況や内容を踏まえた上で、「誰が」「どのような瞬間を」「どのような表現方法で」発信するのかまでを見越し、メニューや店舗、自社の投稿内容を工夫することが必要です。

南アジア・東南アジア:ユーザー数・成長率ともに高い地域。シェア・投稿頻度・ハッシュタグ利用が高い傾向がある。体験や食、ファッションなどを積極的にシェアする文化が強い地域がある。

ヨーロッパ:普及浸透率が高く、新規成長は比較的緩やか。欧州の若者は、交流やトレンド、ライフスタイルの投稿が多い。

アメリカ:利用者数が世界上位。自己表現、ストーリー性のある投稿を好む。フォロワー数やいいね数に敏感であることも特徴。

こういった特性は普遍的な部分もある一方で、国ごとの流行りはスピーディーに移り変わります。その国の言語で検索をかけて、反応の良い投稿がどういったものかを見ながら、その国ならではの感覚をアップデートしていくことも大切です。

前述したように、ハッシュタグは外国人ユーザーの流入にも大きな役割を果たします。実際に店舗に訪れた外国人観光客に対して、英語でのハッシュタグをつけて投稿をシェアしてもらうように呼び掛けることで、UGCを増やすと同時に、外国人ユーザーのさらなる流入を増やしていくことができます。

ハッシュタグは「#VisitJapan」や「#TokyoFoodTour」など外国人の投稿が多いハッシュタグ(ビッグキーワード)に加え、店名などを含む英語の推奨ハッシュタグ(スモールキーワード)をつけてつぶやいてもらうのが効果的です。例えば「Post with “#Nagoya Ekinishi”」と表記したポスターやポップなど、推奨タグを店内で視覚的に掲載し、外国人がハッシュタグをつけてシェアしやすい環境をつくりましょう。またその際には公式アカウントのタグ付けや、位置情報の追加もあわせてお願いできると良いでしょう。

Instagramのハッシュタグキャンペーンは通常、期間内に応募したユーザーの中から抽選でプレゼントを行うなどのインセンティブがあるの一般的です。ただし外国人観光客の場合は後から現物のプレゼントを贈るのが難しい場合が多いため、「その場で投稿すれば●%オフ」などのインセンティブを付与することで投稿を加速するといった工夫を行うことも考えられます。

またこうした投稿を公式アカウントがストーリーズやリポスト機能でシェアすることで、より多くのユーザーに届けることができます。ユーザーと企業側のエンゲージメントが高まることでファン化も期待できるため、ユーザーの投稿は積極的にシェアするようにしましょう。

多くの人にとって、海外旅行は気軽に何度もできるものではありません。だからこそ私が経験したように「いつかもう一度この国を訪れたら、また必ずこの場所に行きたい」と思えるような“ここでしかできない”特別な体験を提供することが熱狂的なファンづくりにつながります。

Instagramはそんな体験の入口となる、外国人観光客にとって重要なツールです。Instagramの投稿を見ただけで「この場所ならではの特別な体験」に思いを馳せられるようなコンテンツを意識してつくっていきましょう。

そしてInstagramの投稿から “インバウンドフレンドリー”な雰囲気を感じられることは、来訪の大きなモチベーションになります。普段の投稿で多言語化を意識するとともに、海外のDMに対してAI翻訳ツールを使って迅速かつスムーズに対応するなど、まだ来日していない新たな外国人のお客様に対して「歓迎している」という空気感を積極的に伝えていくことが大切です。

「インバウンド集客のためのInstagram運用のコツ」5つのポイント
  • 国ごとの明確なターゲットを設定する
  • 国の特性に合わせた「刺さる投稿」を把握する
  • 多言語ハッシュタグで外国人のアカウント流入を強化する
  • 文字情報の充実により“インバウンドフレンドリー”な雰囲気を印象づける
  • 「発信したくなる」工夫によりUGCを増やす

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しん
トガル株式会社 企画編集担当(長期インターン生)
しん
トガル株式会社 企画編集担当(長期インターン生)
大学で情報デザインと海外異文化について勉強中。
多様な人々、多様な生き方に寄り添ったメディアを発信。
グローバルな視点を取り入れ、コミュニティのさらなる広がりを創出する。

企画・構成・編集:しん/執筆:西村

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