Z世代の視点を取り入れ、メディアの新たな繋がりを創出する。
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Z世代の新しい購買モデルEIEEBとは?
産業能率大学の小々馬教授は、ゼミ生からの意見をベースにZ世代に特徴的な購買モデル「EIEEBモデル」を提唱しました。今回は、今を生きるZ世代の購買モデル「EIEEBモデル」と、このモデルを考慮したマーケティング戦略について見ていきましょう。
この記事は、名古屋でZ世代向けSNSマーケティングを行っているトガルがお伝えします。
01
マーケティングに関するZ世代の特徴
マーケティングにおけるZ世代の“価値観”とは
1990年代後半から2000年代に生まれたZ世代は、溢れるほどの情報に囲まれ成長してきました。そんなZ世代の価値観は他の世代とは大きく異なるので、マーケティング施策をする上での注意が必要です。
Z世代の購入動機は“運命的な出会い”
商品購入の動機やプロセスもZ世代においては非常にユニークです。Z世代は商品との運命的な出会いを期待し、それによって商品に愛情を持つ、購買意欲も高まるという傾向にあります。また、そのときめきが瞬間的なものではなく持続的であることも要求するのです。
ロマンチックなZ世代の姿勢の起点は、スマートフォンにあります。Z世代は「お洒落でいたい」、「自己肯定感を高めたい」という欲求のもと、スマートフォンを介していつも“ときめき”を探しています。欲求にマッチした“ときめき”の発見、つまりは「運命的な出会い」こそが、購買決定へつながるのです。この出会いは他者へ広められ、人と商品の新たな出会いを生み出します。
こういったZ世代の感覚世界のなかに奪い合い、競い合いという闘争的な意識は希薄です。他人とつながり、高めあう、平和なコミュニケーションをZ世代は愛します。Z世代を代表する、もう一つの重要なキーワードは“自己肯定感”。Z世代は自己肯定感を上げるために、憧れ消費(自身の憧れを実現することを目的とした消費)を喚起し、自らの理想像を未来へ提示し、現在進行形で自己肯定感を高めることを目的に消費行動を決定するのです。
自己肯定感を求める姿勢の裏には、劣等感や自己否定の感情が渦巻いていることも否定できません。Z世代は生まれて以降、豊かな日本を知りません。経済力の没落、技術力の劣化を目の当たりにし、それとは対照的に近隣諸国の中国・韓国のすさまじい経済的成長を見せつけられて育ってきました。
つまり、それ以前の世代があたりまえのように享受してきた先進国日本に生きる社会的安心感や信頼感が崩壊した果てに生きているのがZ世代なのです。彼らの心のゆらぎが、闘争心の無さや自己肯定感を求める姿勢に、現れているのかもしれません。
02
Z世代の新しい購買モデル「EIEEB」
Z世代の購買モデル「EIEEB」モデルとは
産業能率大学の小々馬敦教授が提唱しているのが、Z世代の新購買モデル「EIEEB」です。この新購買モデルは、マーケティングの授業での、学生との対話の中から生み出されたもの。従来の世代に馴染みあるAIDMAやAISASの流れでは、自分たちは買い物していない、という学生からの発言を参考に創出された考え方です。ここには前述した“トキメキ”への強い要求が現れます。
「EIEEB」を要約すると以下のように分かれます。
E(encounter)
→スマホの中の世界で、自らが魅力的だと感じるものに出会う
I(inspire)
→その魅力的な商品が目に飛び込んできて“自分ごと化”する
E(encourage)
→Twitterやサイトの口コミなどを通じて購買の不安が解消される
E(event)
→購入がイベントとなり、自分の目で確かめつつ、ときめく買い方で購入する
B(Boost up)
→自分もインフルエンサーになる。私もやってみた!を載せて、ときめきを他人と共感し高めあう。
この一連の流れにより、自分でみつけた商品でときめきが高まり、他者へも影響を及ぼせば、自己肯定感と自己有用感が満たされます。
EIEEBモデル全体は2022年に統計的に適切なモデルであることが確認されました。しかも、Z世代のみならずミレニアル(25−40歳)世代、X世代(41−50歳)といったそれ以前の世代においてもEIEEBモデルは適切なモデルであることが、日本マーケティング学会に寄稿された『EIEEB:Z世代を想定した新しい消費行動モデルの提示と定量的検証』によって実証されたのです。
マーケティングにおける“セレンディピティ”とは?
Z世代は膨大な情報量の中で暮らし、周りの影響を受けつつも自らの世界観にあった選択をすることを望んでいます。「セレンディピティ」とは「思いがけない幸福に主体的な力で出会うこと」を意味します。
ニュートンがリンゴの落ちる様子を見て万有引力を思いついた事例や、フレミングがブドウ球菌の研究をしている際に起こした過ちによって、偶然ペニシリンが発見されたことなどがその好例です。
長いこと何かを探し続けてきた中で、つまりは一定の努力を積み重ねている最中に、思いがけない幸運に出会う、その心地よさをセレンディピティという言葉で表しているのです。
このセレンディピティをマーケティングにおいてうまく取り入れて演出することは効果的です。自らが何かを追い求めている状態、自分の頭の中に予備情報が入っている状態で「ときめく」商品に出会うと、当然そこには新たな価値が見出されるからです。
一方で、セレンディピティを自社の利益のために「演出」することは、注意が必要になります。なぜならばZ世代にとって「直感的に感じ取れること」が重要だからです。直感的に感じた出会いが新たな価値の創出につながっていくということは、裏を返せば、ひねった解釈が必要なクリエイティブや、狙いが見え透いた商品は敬遠されてしまうのです。
03
「EIEEBモデル」はZ世代にどう響くか
「EIEEBモデル」はZ世代の潜在的欲求
Z世代がSNSを通じて購買決定に至るプロセスには、一体どんな要素が含まれるのでしょうか。Z世代の多くは、“自分で”見つけ出したアイテムやお店を「先駆者」として他者へ広めたい、“私”が見つけ出した“価値”を他者へ伝えたいという、強い承認欲求をつねに抱えています。
こういったZ世代の商品との出会いから購入決定までのプロセス、購入の際の充足感や発信するまでの心の動きなどを考えれば、まさに「EIEEBモデル」こそが、Z世代の“潜在的欲求”を表しているといえるでしょう。このモデルは、Z世代へのマーケティング戦略を考える上で、とても価値のあるモデルです。
「EIEEBモデル」の創りだす未来
Z世代の全てが凝縮されていると言っても過言ではない「EIEEBモデル」。このモデルはZ世代のトレンドと交わることで、はっきりとZ世代の購買行動を照らし出します。ネットの話題が現実世界に強く作用するようになった現代、誰もがインターネットに新たな発見と“ときめき”を求めているのかもしれません。
情報が渦巻く社会で「認められる」存在となるために、自己が自己であり続けるために、Z世代は常に購買行動をコントロールして生きています。この「EIEEBモデル」をマーケティングに活用することは、Z世代の「真の姿」を知る上で、非常に重要です。
- 1.Z世代の消費行動における“価値観”を知る
- 2.Z世代の特有の“ときめき”を理解する
- 3.従来の購買モデルとの比較検証を行う
- 4.セレンディピティは“演出する”のではなく“生み出す”
- 5.EIEEBモデルを通じてZ世代の未来を予測する
ユニークでセンシティブなZ世界の価値観は、これからの日本の企業をアップデートし、未来を創造する力になります。「SNS」そして「ときめきの続く購買体験」は、若年層マーケティングの鍵です。産業能率大学の小々馬教授が生み出した購買モデル「EIEEB」はLTVを最大化する収益モデルとなる可能性が高いのです。
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企画・構成・編集:ぽん/執筆:菅原