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名古屋駅西ニュース

昔と今と未来を見つめる「駅西対談」2

駅西の街に生まれ、60年以上駅西で暮らしや商いを営んできた“幼馴染”のお三方。駅西の街の変遷をかつての思い出とともに振り返ってもらいながら、これからの駅西に思うことを語っていただきました。


対談者ご紹介

※写真左から順に

名古屋駅太閤通口 まちづくり協議会会長
河村 満

1956年生まれ。
2012年に名古屋駅太閤通口まちづくり協議会を立ち上げ、椿地区のまちづくりの中核を担う存在として、まちの賑わい等に関する様々な取り組みを進めている。

寿司常 二代目大将
早川 嘉彦

終戦直後に開業された老舗寿司店「寿司常」の2代目店主。先代である父親の死後に2代目として引き継ぎ、現在はイタリアン等で修行をした3代目の息子とともに店に立っている。

株式会社 カナイワ商事 代表取締役
金岩 正和

学校の先生やホテル業などさまざまな職業経験を重ねながら、駅西で営業しているおもちゃ問屋を父親から引き継ぎ約20年経営。現在は次代に引き継ぎ、椿町にて暮らしている。


昔と今と未来を見つめる
「駅西対談」

未舗装の道路に牧場。印象深い昔の駅西の風景

金岩:今、我々が子どもだった頃の駅西の写真が目の前にあるけれども、今と全然違うよね。平屋ばかりだし、高い建物が全然ない。

早川:雨が降ると道もドロドロになっていたよね。道がそんな感じでガタガタだから、果物屋や八百屋がトラックで走ると桃とかが落ちて。売り物にならなくなったものを「坊主、持って行け」と言われるから、良くもらっていたよ(笑)。

金岩:道がドロドロになると、砂利を積んだトラックが来てザーっと撒いていっていた。

河村:今ホテルが建っているところからずっと向こうの道まで牧場だったよね。道に黒い柵があって、その向こうに牛がいたのを覚えているよ。

金岩:俺、牛がすごく怖くかった。モーって鳴くとすごくビビっていたから、いつも冷やかされていたな。

賑わいのある昔の駅西

牧野小学校前の牧場

昭和30年代の区画整理により、今に続く街のかたちに

金岩:ただこうして昔の写真を見ると、当然建物は変わっているけれど、区画は変わっていないような気がする。

河村:そうそう。それは感じる。駅西は昭和30年代に区画整理事業があって、我々の先輩方が自分の土地を提供しているんだよね。

早川:そうだった。うちも舗道分以上の土地を提供したよ。

河村:その当時は家の位置ごと変わったって人も多くいたよね。でもそれでまちの道路が広くなって、駅の東側と同じように誰でも通りやすい道になった。道の舗装はもう少し後だったかもしれないけれど、区画はその頃のまま、今につながっているんだよね。

新幹線高架工事

新幹線と高度経済成長がもたらした変化

河村:昭和39年、僕たちが小学生のときに名古屋に新幹線が来るわけだけれど、それによる変化を覚えてる?

早川:新幹線が来るということで、街を変えようという勢いは感じたな。僕たちも京都への修学旅行に新幹線で行ったよね。

金岩:小学校の学芸会で、「宇宙人が新幹線に乗って名古屋へやってくる」という劇をやったこともあった。新幹線のホームがすごく高くてそこから名古屋の街を見渡すことができたから、宇宙人が名古屋駅のホームに降りて「東側は立派なビルがあるけれど、西側は全然何もないじゃん」って言うという(笑)。

早川:その学芸会、覚えているよ。テレビだと宇宙人は円盤に乗ってくるけれど、その学芸会ではなぜか新幹線だったんだよね(笑)。

河村:新幹線が来てから昭和40年代、50年代と僕らも大人になっていくわけだけれど、「明日は必ずもっと良くなる」という時代だった。実際に高度経済成長でどんどん良くなっていったわけだから。

金岩:駅西にもそこから立派なビルがどんどんと建っていって。活気はものすごくあったな。

河村:ごった煮というか、混沌としたカオスなパワーがあった。個性的な人も集まっていたよね。

早川:椿町なんて特に、個性の塊だったよね。

新幹線が到着した名古屋駅前

昔の名古屋駅前の様子

外から来た人とともに「駅西らしい」魅力で街に賑わいを

金岩:今後はリニアの開通が予定されているけれど、リニアができたからといって街が賑わうとは限らない。ただの乗り継ぎの場所になったり、通過点になったりしてしまう可能性もある。まちを発展させようと思うと、リニアに乗って名古屋に来た人が「降りて楽しみたい」と思うような魅力的なものをつくっていかないといけないんじゃないかな。

早川:東側とは違う、駅西ならではの魅力というのは絶対にある。「らしさ」を出しながら、訪れた人に好きになってもらえたらなと思いますね。

河村:「らしさ」をどう出すかというのは結構難しいんですよね。そもそも「駅西らしさ」って何だろう。やっぱり“ごった煮”感のある「何でもあり」なところかな?

金岩:元は闇市で栄えたという歴史もある。そこからくる「自由」さというのは魅力的な部分だと思う。

早川:飲食店で言うとチェーン店ではなく個人店が多い。そういう「手作り感」も魅力だよね。

河村:確かにそうだね。カジュアルと言うと格好良すぎるかな?「インフォーマルな街」というのが駅西らしさかもしれないですね。

金岩:もちろん駅西を盛り上げていくためには、人もキーポイント。新しい世代にバトンを渡していく上では「外から来た人」というのも重要なんですよね。

早川:外から来た人って、ずっと駅西にいる人では気が付かない、いろいろなことに気がつくんです。僕のお店の3代目の息子も、ある意味外から来た人間。駅西以外の居酒屋の経営者などいろいろな人と交流があって、そういうつながりに刺激を受けている部分がある。それは飲食店に関わらず大切なことなんじゃないかな。

河村:駅西でずっとやってきた人と、外から来た人がうまくコラボして、活性化していければいいですよね。その上でも、先ほど話した「駅西らしさ」だったり、どういうまちづくりをしていくかの方向性を、関わる皆が共有できているといいなと思います。

金岩:特にお祭りなんかは、住んでいる人だけで盛り上げようとすると難しいものですからね。リニアの広場という「場」ができることで、通りがかりの人も巻き込んでいける可能性も出てくるんじゃないかな。

早川:お祭りがあると、まち全体がつながっていきますよね。今後もTSUBAKIフェスタなどを皆で盛り上げていけるといいなと思います。

リニア工事中の駅西の風景

写真・イメージ 提供:名古屋駅太閤通口まちづくり協議会

EKINISHI NEWS


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