Web広告連続小説 ツタエル

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ツタエル

目次

サービス説明 ツタエル について
  • プランニング
  • クリエイティブ
  • オペレーション
  • 価格は定額制
  • 広告メニュー
  • 導入までの流れ
  • お問い合わせ

ツタエル

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サービス説明 ツタエル について
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お問い合わせ

この扉の向こうに、
世界一おいしいコーヒーを淹れる
マスターがいる。

例えばあなたが
無類のコーヒー好きだったとしても、
そのことを知らなければ、
この扉が「古い鈴がついた木の板」
という以上の
意味を持つことはないでしょう。

これは、
世界中で起きているかもしれない
もどかしいすれ違いを
「伝わる力」で結び直していく、
そんな物語です。

この物語があなたに伝わったとき
目の前のこの扉はきっと、
特別な空間につながる入口に
なっていることでしょう。

だれも知らない喫茶店

Prologue

鳴らない鈴の音

 今日もだれも来なかった。
マスターは、もう3か月、毎日閉店後にこの言葉を呟いている。
 いつものようにカウンターの内側で、自分用のコーヒーを淹れる。
 コーヒーを淹れる腕だけには自信があって始めた店だ。もちろん内装にも拘った。特に入り口のドアに取り付けたアンティークの真鍮の鈴は、骨董市で見つけた気に入りの逸品だ。しかしそれが、一向に鳴らない。もはや何のための鈴なのか、このコーヒーが本当においしいのか、マスターにはわからなくなってきていた。

「世界一おいしいコーヒーを出す、誰も知らないお店があります。そのお店に行く方法をご存知ですか?」

ふと目の前からそんな声がして、マスターは視線を上げた。視線の先に、カウンターのスツールに座ってコーヒーを飲む、見知らぬスーツの男と、鈍色に光る人型の機械──のちにマスターが「アドマン」と「ロボット」と呼ぶようになる二人──の姿があった。
 マスターは一瞬ひどく混乱した。(暇すぎておかしくなったか?とも思った。)しかし混乱はともかくとして、ひとまず今の質問について考えることにした。(誠実かつ大らか、というのがマスターの美点のひとつだった。)

 世界一おいしいコーヒーとはどんなコーヒーだろう、と思い巡らせながらマスターは答える。
「そうですね、まずそのお店を知っている人を探してお店の名前を聞いて…それからインターネットで探して行き方を調べます、かね。」
アドマンはマスターの答えを受け、我が意を得たり、というように笑った。
「マスターはそもそも、誰も知らないお店をどうやってお知りになるんですか?」
「………………。」
 押し黙ったマスターの顔を見ながら、ロボットが続けた。(この時に初めて、マスターはロボットが流暢に人語を話すことを知った。)
「気づいていますか?このお店がそうなんですよ。」
「え?」
 唐突に訪れたこの状況以上に、その言葉にマスターは動揺した。確かに開店以来3か月、ただの一人も来ていないが、誰も知らないなんてことあり得るんだろうか。開店時には手作りのチラシも配ったし、店のホームページだってつくった。それに、世界一おいしいコーヒー?今飲んでいるこれが?
「そうなんですよ。世界一おいしいコーヒーなのに、認知度0なんです。」
 マスターの心の中を読んだかのようにロボットがそう言った。

 アドマンが続ける。
「いくら世界一良いものを提供していても、誰も知らなければ誰も来ません。知らないものは、ないのと同じなんです。」

 そして自分たちの役割はそれを伝えること、そのために来たんだ、二人はそう言った。


「知らないのなら、みんなに知らせましょう、Web広告で。」

登場人物紹介

  • アドマン
  • マスター
  • ロボット
  • マスター

    世界一おいしいコーヒーを淹れる喫茶店のオーナー。コーヒーに対するこだわりと情熱、新しいものを取り入れる柔軟性を併せ持つ。誠実な人柄で、情に厚い一面も。

  • アドマン

    広告知識とマーケティング知識で、数々のウェブ広告を成功に導いてきた戦略家。クールな見た目だが、実はかなりの甘党。コーヒーにはミルクと砂糖をたっぷり入れないと飲めないとか…?

  • ロボット

    デジタル知識のスペシャリスト。豊富な知識に裏打ちされたデータ分析は、常に冷静かつ的確。かたい体とは裏腹のやわらかい物腰で、周囲を和ませる癒し系。

Episode1

コーヒーのひみつ

 アドマンとロボットからマスターへの徹底したヒアリングが始まった。
 この味を作り出すための試行錯誤、他の店との違い、マスター自身のことまで…。
 二人はとにかく熱心で、話をしていく内にマスター自身も忘れていたようなコーヒーへの気持ちを思い出していくようだった。

「マスターのコーヒーへのお気持ちや、このコーヒーのこと、よく理解できました。マスターのこのお店は、本当に宝物ですね。」
 ひんやりしたボディから繰り出されたロボットの温かい言葉には、ちょっとホロっとしてしまったくらいだった。
「そうしたら、今度はどんな集客をするかですね。」
 アドマンの口調は素っ気なかったが、彼の前に隙間もない程びっしりと書き込んだ手書きのメモが何枚も置かれているのを、マスターは見逃さなかった。
アドマンは続ける。
「商品は良いんですよ。マスターのコーヒーは何と言っても世界一ですからね。ホームページも少々改善すればOKです。後はSEOか…。」
「SEOは競合が多いから、少し時間がかかりそうですね。SNSはやっていますか?」
ロボットからの質問に、マスターは答える。
「SNSはオープンと同時にやり始めましたよ。」

「おお、いいですね。ただ、SNSの投稿のみでは効果が出るまでに時間がかかるんです。現時点ではWeb広告やSNS広告が最適だと思いますよ。」
 そう言ってロボットが差し出してきたWeb・SNS広告のメニューの種類の豊富さにマスターは軽い目眩を覚えた。

目的から考えましょう。このお店のことを、誰に伝えたいですか?」
 アドマンの問いかけに、マスターは改めて「お客様」というものに思いを巡らせる。
「ゆくゆくは日本中のコーヒー好きが来てくれると嬉しいですけど…まずはこの辺りの人が気楽に訪れて、のんびりと癒されるような場所になるといいですね。」
 マスターの答えを受けて、アドマンとロボットが思案する。
「そうすると最初は地域を絞りつつ…興味・関心は限定しすぎない方がいいかもしれないな。」
 アドマンが言い、ロボットが続ける。
「Web・SNS広告は効果測定も肝要ですからね。コンバージョン設計・タグ設定もしっかりやりましょう。」
「コンバージョン」も「タグ」も、マスターには初めて聞く言葉だったが、その頼もしさに思わず力強く頷いた。

Episode2

マスターからのラブレター

「ところで、前つくったチラシっていうのはどんなものなんですか?」
 アドマンに聞かれて、マスターはオープン時に一人でつくった自信作の手描きチラシを二人に見せた。アドマンとロボットは一瞬顔を見合わせる。
「あたたかみがあってこれはこれで良いですけど…そうですね…。」
 珍しく曖昧な物言いで語尾を濁したアドマンの言葉の後を、ロボットが引き取る。

「Web・SNS広告は伝えるためのものです。でもただ情報が伝わればいい、というものでもない。どうやって伝わったか、『伝わり方』が大切なんです。好きな人に届けるラブレターだと思ってください。どんなに美しい文章でも、字がすごく汚くて何書いてあるかわからなかったら…」
ロボットはここまで言って、あ!という顔をした。
「いや、マスターのチラシのことじゃないですよ。例えばの話です。
でもですね、先ほどお話いただいた、この世界一のコーヒーの香りがいかにすばらしいか。一つひとつ大事に選んだ道具、お店の調度品、マスターの想いやお人柄がどんなものか…。簡単に言葉や絵にできないからこそ、伝わるようにこだわるんです。」
アドマンも深く肯く。
「単にかっこいいものをつくればいいっていうものでもありません。広告を見てお店に来てくれた人に『思った通り素敵なお店だ』と思ってほしい。キャッチコピー、写真一つとっても、マスターの大切なお店の良さを最大限引き出せるよう、しっかり考えていきましょう。」

Episode3

クールな頭、ホットな心

 Web・SNS広告を出稿して3か月が経った。
アドマンとロボットは頻繁にマスターの店に訪れては、ロボットの目から出るビームで店の白い壁に数字を投影し、状況の説明を欠かさない。
 文字通り目を光らせながら、ロボットがマスターに問いかける。
「ここ最近、クリック率は良いですがランディングページの滞在時間は減少していっていますね。曜日は平日よりも土日の方が見られている…。お店に実際来ているお客様はどんな方が多いですか?よく注文されているメニューってあります?」
「そうですね、年齢層は様々ですけど…本当にコーヒーが大好きな方ばっかりみたいで、僕がコーヒーを淹れる手つきとか道具とか、気がついたらみんなじーっと見てるんです。ちょっと緊張しちゃいますよ。」
 思い思いに過ごしているはずのお客様が、ふと気がつくと示し合わせたかのようにマスターの手元を見つめている風景を思い起こし、マスターは思わず笑みをもらした。

「本当のコーヒー好き…。もしかしたら広告のクリエイティブをもっとそっちに振っていった方がいいのかもしれない。」
マスターの話を聞いていたアドマンが顔を上げて呟いた。ロボットも頷く。
「例えばコーヒーを淹れている手元とか、使っているこだわりの道具とか、本当においしいコーヒーを淹れていることを存分に表現できる写真や動画を使用するのがいいかもしれないですね。」
「このあたりはビジネスマンも多いけれど、平日の昼休みというよりは、仕事帰りや休みの日にゆっくりとコーヒーを味わいたい…Web広告はそんなターゲットに絞った方がいいのかもしれないな。」

熱心に戦略を練る二人を見て感激しつつ、マスターは何だか少し申し訳ないような気分にもなる。
「でも最初を思うと今でも本当に上出来ですよ。この規模の店ならこんなもんじゃないんですかね。」
 謙遜と感謝を込めたマスターの言葉に、いつも冷静沈着でスマートな物言いのアドマンが珍しく語気を強めた。
「いえ、マスターのコーヒーは世界一です!このお店は宝物なんです。
 このお店の良さを、本当に最適な形で、本当にたくさんの人に知って欲しい。そのために最善を尽くしたいんです。」

Epilogue

鈴の音は今日も

 今日も忙しい。
 あれからさらに数ヶ月後の店内。人で埋まった客席を見ながら、カウンターの内側でマスターはそう呟いた。

 カウンターでコーヒーを啜るアドマンはそんな店の状況を見て、相変わらずクールに
「ここまで集客できているなら、そろそろ広告は減らしてもいいかもしれないな。」
と言う。(ちなみに、アドマンとロボットの二人はすっかりこの店の常連になっていた。)
「え、でも…。」
 アドマンのその言葉に、マスターは手を離されてしまうような不安を覚える。
「大丈夫ですよ、ここに来ているお客様なら。」
 ロボットがそう言い、三人は改めて店内を見渡す。日曜日の昼下がり。本を読んだりお喋りに興じたり、みんな思い思いにコーヒーを楽しみながら本当にしあわせそうに、三人には見えた。
「マスターにとってそうであるみたいに、ここに来る人たちにとってもここは大切な場所になっているんですね。」
アドマンらしからぬ情緒的な言葉に、マスターは深くうなずいた。

「このお店の雰囲気や良さは、SNSでの発信と親和性が高いと思うので、充実させていきましょう。あとマスターが以前されていたように、ポスティングでもっと近隣のファンを増やしたりというのも今なら良いと思います。Web・SNS広告ももちろんですが、いろいろな方法でこのお店を広げていきましょう。」
 プライベートで来たはずなのにいつの間にかまた戦略会議になっている二人を、マスターは微笑ましく見守る。
少しだけ斜めになった陽の光が、マスターのこだわりのコーヒー道具、コーヒーカップ、新しいお客さん、常連さん、この店のすべてを包み込むように照らしていた。この店はほんとうに宝物だな、とマスターは心の中で呟く。


 また来客をしらせる古い真鍮の鈴が、音を立てた。